〈赤ちゃんポスト〉をきっかけに出会った、赤ん坊の母親、ベイビー・ブローカーの男たち、そして彼らを現行犯逮しようと静かに追いかける刑事‥‥彼らが絡み合いながら繰り広げる、一風変わった旅路を描く、是枝裕和監督の最新作、映画『ベイビー・ブローカー』。
本作は、先日発表された、第75回カンヌ国際映画祭(5月17日~5月28日 開催)【コンペティション部門】への正式出品決定でも話題を呼んでいる。カンヌ国際映画祭で是枝監督作品が【コンペティション部門】に選出されるのは、最高賞のパルムドールを受賞した2018年の『万引き家族』以来4年ぶり、6回目(同映画祭への出品自体は8回目)となる。また本作は韓国の製作・俳優陣と長年温めてきたオリジナル企画を映画化した是枝監督初の韓国映画となり、主演を務めるのは、2020年アカデミー賞作品賞を受賞した『パラサイト 半地下の家族』のソン・ガンホ。
この度、本作のキャストと監督のインタビュー&メイキングが収められた特別映像が公開された。
是枝監督が映画祭で顔を合わせていたソン・ガンホとカン・ドンウォン、そして『空気人形』で“また必ず一緒に”と誓っていたペ・ドゥナが、是枝監督から映画出演のオファーを受けたときのことを振り返る様子からはじまる本映像。長い年月を重ねながら企画をあたためてきた是枝監督が韓国を舞台に描き出すのは、〈赤ちゃんポスト〉をきっかけに出会った、赤ん坊の母親のソヨン(イ・ジウン)、ベイビー・ブローカーのサンヒョン(ソン・ガンホ)、相棒のドンス(カン・ドンウォン)、そして彼らを現行犯逮しようと追いかける刑事のスジン(ペ・ドゥナ)と後輩のイ刑事(イ・ジュヨン)といった様々な事情を持った登場人物たちの物語。
「一人の赤ちゃんを中心にして、血縁ではつながっていない人々が旅を通して家族を形成するという話です」と是枝監督が説明する本作の脚本を読んだペ・ドゥナは「是枝監督らしいシナリオだと思いました」を笑顔で語り、イ・ジウン(IU)は「監督の想像がどう現実になるか、私がそこにいたらどんな姿に見えるかなと‥‥」と目を輝かせ、カン・ドンウォンは「家族の物語をブローカーを通して語るのは新しい視点で面白かったです」、さらにソン・ガンホは「人間についての物語。人間が持っている尊い感情を表現した映画」と是枝監督が独自の眼差しで登場人物の感情を紡ぐストーリーに感銘を受けたようにコメントしている。
先日韓国で開催されたイベントでも“韓国映画界の宝物のような役者さんたち”と評したように、キャスト陣に絶大な信頼を置いている是枝監督だが、本映像でも「役者を楽しめる映画だと思いますのでそこを堪能してください」と太鼓判。最後はカン・ドンウォンの「心を込めて撮影しました」、イ・ジウンの「皆さんにこの想いが届くと嬉しいです」、ソン・ガンホの「深い井戸の水のように澄んで美しい作品の世界に出会えると思います。ぜひ観てください」といった想いがつまったメッセージとともに締めくくられる。
映像にはメイキングもあり、キャスト陣が真剣な眼差しでモニターを見つめる様子や、監督とコミュニケーションを取りながら撮影に挑む姿を確認することができ、さらなる新境地に挑んだ是枝監督の最新作にますます期待が高まる。
映画『ベイビー・ブローカー』は6月24日(金)より全国公開。
古びたクリーニング店を営みながらも借金に追われるサンヒョンと、赤ちゃんポストがある施設で働く児童養護施設出身のドンス。ある土砂降りの雨の晩、彼らは若い女ソヨンが、赤ちゃんポストに預けた赤ん坊をこっそりと連れ去る。彼らの裏稼業は、ベイビー・ブローカーだ。しかし、翌日思い直して戻ってきたソヨンが、赤ん坊が居ないことに気づき警察に通報しようとしたため、2人は仕方なく白状する。「赤ちゃんを大切に育ててくれる家族を見つけようとした」という言い訳にあきれるソヨンだが、成り行きから彼らと共に養父母探しの旅に出ることに。一方、彼らを検挙するためずっと尾行していた刑事スジンと後輩のイ刑事は、是が非でも現行犯で逮捕しようと、静かに後を追っていくが‥‥。
監督・脚本・編集:是枝裕和
出演:ソン・ガンホ 、カン・ドンウォン 、ペ・ドゥナ、イ・ジウン イ・ジュヨン
配給:ギャガ
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2022年6月24日(金) 全国公開
公式サイト babybroker