Jun 05, 2025 news

ボスニア出身のエナ・センディヤレヴィッチが綴る、新世代のまなざし 映画『テイク・ミー・サムウェア・ナイス』

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幼い頃に別れた父を訪ね、母国であり異国の地ボスニアへと向かう一人の少女と、彼女の旅の道連れとなる2人の青年を描いた、エナ・センディヤレヴィッチ監督の初長編監督作品、映画『テイク・ミー・サムウェア・ナイス』。この度、本作の日本公開情報ならびに特報映像、ティーザーポスターが公開された。

少女アルマは、オランダ生まれのボスニア人。両親は戦火に揺れた祖国を離れ、オランダで彼女を育ててきた。やがて父はひとり祖国へ戻り、消息は遠ざかっていた。そんな父が入院したという知らせが届き、母に言われるまま、アルマはたったひとりでボスニアへと向かう。出迎えたのは、終始ぶっきらぼうで何の手助けもしてくれない従兄のエミル。部屋に置き去りにされ、キャリーケースは壊れ、荷物も取り出せず、居場所のない空間に身を持て余す。そんな時、アパートの扉の前で眠り込んでいた彼女に声をかけたのは、エミルの“インターン”を名乗るデニスだった。彼だけが、彼女の話に耳を傾けてくれるのだが‥‥。

監督は、ボスニア・ヘルツェゴビナ出身でオランダ育ちのエナ・センディヤレヴィッチ。長編デビュー作となる本作は、監督自身のルーツを主人公に色濃く投影した半自伝的な作品で、監督が心酔するジム・ジャームッシュの代表作『ストレンジャー・ザン・パラダイス』から多大なインスピレーションを受けているという。

「大人」とも「少女」とも言いきれないひとりの若い女性が経験するひと夏の物語は、青春ロードムービーでありながら、経済的格差が大きい西欧(オランダ)と東欧(ボスニア)の文化的対立や、移民などのテーマがさりげなく織り込まれる。

タイトルである『テイク・ミー・サムウェア・ナイス』は、監督が愛するスコットランド出身のポストロックバンド、モグワイの楽曲名に由来している。監督自身のルーツが色濃く投影された主人公・アルマは「自分はどこに属しているのか」「本当の居場所はどこなのか」を問い続けるが、監督曰く、アルマというキャラクターは「カフカ的な旅に出る現代の『不思議の国のアリス』」。

美しくもどこか荒涼とした風景を独自の構図で切り取るのは、撮影監督エモ・ウィームホフ。そして、ローファイで夢のような空気感を醸し出す音楽は、作曲家/シンガーソングライター/映画音楽家のエラ・ファン・デル・ウーデが手掛けている。

映画『テイク・ミー・サムウェア・ナイス』は、2025年9月13日(土)より全国順次公開。

作品情報
映画『テイク・ミー・サムウェア・ナイス』

少女アルマは、オランダ生まれのボスニア人。両親は戦火に揺れた祖国を離れ、オランダで彼女を育ててきた。やがて父はひとり祖国へ戻り、消息は遠ざかっていた。そんな父が入院したという知らせが届き、母に言われるまま、アルマはたったひとりでボスニアへと向かう。出迎えたのは、終始ぶっきらぼうで何の手助けもしてくれない従兄のエミル。部屋に置き去りにされ、キャリーケースは壊れ、荷物も取り出せず、居場所のない空間に身を持て余す。そんな時、アパートの扉の前で眠り込んでいた彼女に声をかけたのは、エミルの“インターン”を名乗るデニスだった。彼だけが、彼女の話に耳を傾けてくれるのだが‥‥。

監督・脚本:エナ・センディヤレヴィッチ

出演:サラ・ルナ・ゾリッチ、エルナド・プルニャヴォラツ、ラザ・ドラゴイェヴィッチ

配給:クレプスキュール フィルム

© 2019(PUPKIN)

2025年9月13日(土) シアター・イメージフォーラムほか全国順次公開