『彼女』愛と救いを求めた”逃避行の旅”
Netflix映画『彼女』を2021年4月15日より全世界独占配信される。
原作は、女性二人の逃避行を描いた中村珍の「羣青」(小学館IKKIコミックス)。高校時代から同級生の七恵に恋をしている永澤レイと、夫から壮絶なDVを受けている篠田七恵。レイは七恵を救うために夫を殺害する。自分のために殺人まで犯したレイに疎ましさと恐ろしさを抱きつつ助けを求める七恵と、そんな彼女を救うためすべてを受け入れるレイ。互いに愛を欲しながら、絡み合わない想いをぶつけあうレイと七恵。
殺した女と殺させた女。行くあてもない二人の逃避行でありながら、ドローン撮影によるレインボーブリッジの遠景や、緑が眩しい山道、雨が降る夜の無人駅、そして朝日に照らされた灯台など、日本の自然の美しさを最大限に生かしたロングショットで開放感のあるロードムービーとなっている。
不器用な二人が本気でぶつかり合うことで、互いにかけがえのない存在となる姿は、観る者もまさに一緒に”旅”をしている気持ちにさせてくれる。そんな映画のマジックが、自分のリアルライフを2倍にも3倍にも膨らむまさに“映画のマジック”に満ち溢れた１本。『彼女』が配信される今春は、他にも、場所の移動だけではない”旅”を通じて映画のマジックが味わえる作品が続々公開する。
『アンモナイトの目覚め』化石の発掘という”古代への旅”
まず紹介したいのが4月9日（金）公開予定の『アンモナイトの目覚め』。今作は19世紀イギリスを舞台に異なる境遇の2人の女性が化石を通じてひかれあう姿を描いた物語。発掘という”時空を超えた旅”とも言える時間を通して、今を生きる灯をみつけていく瞬間に立ち会える。
初長編監督作『ゴッズ・オウン・カントリー』で数々の賞に輝いたフランシス・リー監督が、孤独の中に生まれた自分を発掘していく女性立ちの物語を繊細かつ大胆に描きあげている。そして、それを表現するケイト・ウィンスレットとシアーシャ・ローナンの魂の共演に心が動かされることは間違いないだろう。
『サンドラの小さな家』自分を取り戻す”人生の旅”
最後に、4月2日に公開された『サンドラの小さな家』を紹介したい。アイルランド・ダブリンを舞台に、住む場所を失った若い母親と子どもたちが、周囲の人々と助け合いながら自分たちの手で小さな家を建てる姿を描いたヒューマンドラマ。母親が自らの手で一から家を建てるという時間と、周囲の人たちとの交流を通じて人生を再構築していく”旅路”が描かれている。
『マンマ・ミーア！』、『マーガレット・サッチャー 鉄の女の涙』と女性の人生の喜怒哀楽を赤裸々に描いてきたフィリダ・ロイド監督がメガホンをとり、舞台を中心に活躍する女優クレア・ダンが脚本・主演を務めた。
遠出が難しい今だからこそ、映画で体験できる”無制限の旅”をぜひ楽しんでみてほしい。
監督：廣木隆一
原作：中村珍「羣青」(小学館IKKIコミックス)
脚本：吉川菜美
出演：水原希子 さとうほなみ 新納慎也 田中俊介 鳥丸せつこ 南 沙良 / 鈴木 杏 田中哲司 / 真木よう子
テーマ曲：細野晴臣
音楽：森山公稀（odol）
エグゼクティブ・プロデューサー：坂本和隆（Netflix コンテンツ・アクイジション部門ディレクター）
プロデューサー：梅川治男
企画・制作プロダクション：ステューディオスリー
4 月15 日（木）Netflixにて全世界同時独占配信
監督：フランシス・リー『ゴッズ・オウン・カントリー』
出演：ケイト・ウィンスレット『愛を読むひと』、シアーシャ・ローナン『ストーリー・オブ・マイライフ/わたしの若草物語』
配給：ギャガ
R-15
© 2020 The British Film Institute, British Broadcasting Corporation & Fossil Films Limited
4 月 9 日(金) TOHO シネマズ シャンテ他 全国順次ロードショー
監督：フィリダ・ロイド
共同脚本：クレア・ダン、マルコム・キャンベル『リチャードの秘密』
出演：クレア・ダン ハリエット・ウォルター コンリース・ヒル
2020年/アイルランド・イギリス/英語/97min/スコープ/カラー/5.1ch/
原題：herself/日本語字幕：髙内朝子
提供：ニューセレクト、アスミック・エース、ロングライド
配給：ロングライド
©Element Pictures, Herself Film Productions, Fís Eireann/Screen Ireland, British Broadcasting Corporation, The British Film Institute 2020
4 月 2 日(金) 新宿ピカデリー、ヒューマントラストシネマ有楽町ほか全国公開
