第31回釜山国際映画祭 ワイド・アングル部門コンペティションに正式招待されたドキュメンタリー映画『走馬灯』。このたび本作の予告映像が公開された。
福島県西会津町奥川。縄文の昔から山と共にあった村が、人口減少の末に消えようとしている。村に残るのは、ここに生まれ育った500人の老人たち。都会の物差しで見れば、不便で厳しい山奥だが、村人にとっては、はるか昔から先祖たちが生まれて死んできた命の揺籠だ。ここで人はキノコのように土と繋がり、死者と繋がり、命の終わりには親しんだ風景に消えていく。

監督は『私だけ聴こえる』で、令和4年度文化庁映画賞大賞を受賞した松井至。本作は2024年、奥川の村の人より依頼を受けた松井が、最先端のドキュメンタリーをプロデュースするCHARLOTTE COOKと共に制作を開始。1年を通して撮影された。圧倒的な映像美で描かれた奥川の四季は五感を呼び覚まし、西会津の水や木や石を楽器にして作られた音は現地にいるかのように響き、本能的なレベルでの「帰郷」の体験をもたらす。世界人口の6割が都市に住むという未曾有の段階を迎えた現代社会の周縁で、無数の集落が消滅の運命を辿る。映画は日本の地方だけでなく、全世界の消えゆく故郷を念頭に記録され、「人間が本当に還りたいと願う場所」を希望と共に問いかける。




このたび公開された予告映像では、雪深い山奥に向かう車窓のシーンから幕を開ける。「(2011年の)東日本大震災が起こって、いてもたってもいられなくなった」と語る、故郷の福島県西会津に帰ってきた男。彼が見たのはずっと昔から続いてきた村の風景だった。人々は収穫したナメコの軸取りをし、お盆にはお墓の前で亡くなった友達に語りかけ、「もう来年からやめんべ」と言っていたのに春が来るとまた田植えをはじめ、村が荒らされないように雪山に狩猟に出かけ、お地蔵様に手縫いの赤頭巾をかぶせる。高齢の村人たちの姿が美しい映像で紡がれていく。どんなに不便で、過酷な環境であってもこの村で生きることをやめない彼らを姿をみると、観たもの誰しもが「故郷とはなにか」と改めて自身の心のうちに問いかけるだろう。

映画『走馬灯』は、2026年12月12日(土)より全国順次公開。

福島県西会津町奥川。縄文の昔から山と共にあった村が、人口減少の末に消えようとしている。村に残るのは、ここに生まれ育った500人の老人たち。都会の物差しで見れば、不便で厳しい山奥だが、村人にとっては、はるか昔から先祖たちが生まれて死んできた命の揺籠だ。ここで人はキノコのように土と繋がり、死者と繋がり、命の終わりには親しんだ風景に消えていく。
監督・撮影・編集:松井至
出演:矢部佳宏、矢部幸子、小椋サカコ、小椋ユアコ、宮澤一一、宮澤恭子、矢部タミ、石井アツ子、荒海享俊、矢部隆一、三瓶トミノ
配給:走馬灯上映委員会
© Itaru Matsui
2026年12月12日(土) シアター・イメージフォーラムほか全国順次公開
公式サイト soumatou.jp