第34回柴田錬三郎賞を受賞した朝井リョウによる小説『正欲』が、監督・岸善幸、脚本・港岳彦により映画化される。出演は稲垣吾郎、新垣結衣。この度、磯村勇人ら3名の追加キャストが発表された。
『正欲』は家庭環境、性的指向、容姿など、様々な異なる背景を持つ人たちを描写し、人が生きていくための推進力になるのは何なのかというテーマに迫る、衝撃的なストーリー。『あゝ、荒野』(2017)で国内の映画賞を席巻した、監督・岸善幸と脚本・港岳彦が再度タッグを組み、稲垣吾郎と新垣結衣が、息子が不登校になった検事 寺井啓喜と、特殊性癖を持つことを隠して生きる 桐生夏月を演じる。
さらに、磯村勇斗、佐藤寛太、東野絢香の3名の出演も発表された。磯村は、両親の事故死をきっかけに中学3年生まで暮らしていた広島に戻ってきた佐々木佳道を演じる。佳道は、新垣が演じる夏月の中学時代の同級生で、2人は誰にも言えない秘密を共有している。
大学のダンスサークルに身を置き、準ミスターに選ばれるほど容姿端麗なのにも関わらず、ひととの交流を避ける諸橋大也役には、映画、テレビドラマ、舞台と幅広く活躍する劇団 EXILEの佐藤寛太。大也と同じ大学に通う、学園祭実行委員の神戸八重子を演じるのは、連続テレビ小説「おちょやん」(2020)で注目を浴び、本作が映画初出演作品となる東野絢香。
【コメント】
▼磯村勇斗
今回の作品では、自分の指向とは異なる人物を演じなければならなかったので、その感覚を体に馴染ませるのが難しかったです。ですが『前科者』でご一緒させていただいた岸監督とだったので、信頼しながら作り上げていきました。クランクイン前や現場で監督と話し合い、丁寧に佐々木佳道に寄り添っていきました。
難しい題材ではあるものの、今の時代に問う作品になっていると思います。
▼佐藤寛太
自分の身体の目に見えるところに傷をつけられたような、今後一生自分が向き合っていくことになるものだと気づかされた。というか知らされた、知らしめられたという感覚でした。準備期間前に自分が当たり前だと思っていた価値観が崩れる不思議な体験でした。杭を一本一本打ちながら登っていく力強さを大也に感じたから、それは誰にでもあるものじゃないから、勇気をもらうじゃないけど、今までにない感じ方をした役柄でした。
岸監督の演出のなにがすごいって、遠回りをさせてくれる。簡単に答えを出さないから、遠回りして見た景色を現場の本番というゴールに来た時にもうひとつ昇華させてくれる、一緒に考えてくれる。欲しい言葉をくれるというのもあるけど、絶えず考えさせてくれるし、信頼してくれてるのがすごく分かるから、気張るという意味ではなく、応えたいと思うし、この監督が創る作品のなかで、重要なピースでいたい。と気持ちよく思わせてくれる。
今回ご一緒させていただいて、ここに呼ばれるように自分を削っておきたいな、と思いました。どこかでまあこれでいいかと思わず、ずっと削っておきたいです。こんな組に携われることはなかなか無いから、ここでできることは全部出しときたいな、この作品、この役に悔いを残したく無いな。と思いました。
この映画観てくれたひとがみんな傷つけばいいのに、傷ついてハッとして人にやさしくなればいいのにって思います。
▼東野絢香
原作を読んだ時に感じた、喉の奥に広がる苦さが逃げないよう、丁寧に撮影を重ねて挑みました。全てを愛する事は、難しいです。ですが、あの日、カメラの前に立ったあの瞬間は、心からなにかを愛せたと思います。1 秒 1秒がスローモーションに感じたあの時間や空間を、私は生涯忘れません。この作品が、誰かにとっても、そう記憶される映画になればと、万感の思いでいっぱいです。
映画『正欲』は、2023年秋、全国ロードショー。
不登校の息子が世間から断絶されることを恐れる検事の啓喜。ひとつの秘密を抱え、自ら世間との断絶を望む寝具販売員の夏月。夏月の中学の同級生で、夏月と秘密を共有する佳道。心を誰にも開かずに日々を過ごす大学生・大也。自分の気持ちに戸惑いながらも心に従おうと邁進する、大也と同じ大学に通う八重子。無関係に見えたそれぞれの人生が、ある事件をきっかけに交差する。
監督:岸善幸
出演:稲垣吾郎、新垣結衣、磯村勇斗、佐藤寛太、東野絢香
配給:ビターズ・エンド
©2021 朝井リョウ/新潮社 ©2023「正欲」製作委員会
2023年秋 全国ロードショー
公式サイト bitters.co.jp/seiyoku