コラム 佐々木誠の『映画記者は今日も行く。』第155回
現在開催中の「第30回東京国際映画祭」内の10月30日にTOHOシネマズ 六本木ヒルズで行われた、映画『勝手にふるえてろ』の舞台挨拶に、女優の松岡茉優が登壇した。
『茉優ちゃん、カワイイ〜!!』の声援に、照れ笑いを浮かべながら「ありがとうございます」と返していた松岡(【江藤良香(ヨシカ)】役)は、「素晴らしい世界的な映画祭でこの作品を選んで頂き、そして、たくさんの方が来てくれて嬉しく思います」と感謝の言葉を口にすると、「忘れられない思いや気持ちがある方のお葬式場になるような映画だと思います。忘れられない記憶ってあると思いますが、それを今日葬ってください」と、独特の“松岡節”で作品を紹介していた。
また、メガホンを執った大九明子監督は「本日がこの映画のワールドプレミアということで、お客さんに観てもらう初めての回となります。“勝手にふるえてろ”というタイトルを自分に言いたいくらい、ドキドキとふるえる一方でワクワクもしています」と打ち明けると、「主人公の良香は変わり者ですが、良香的な人にこの映画が真っ直ぐ届けばいいなと思っています。20代に置いてきたあらゆる罵詈雑言を松岡茉優に託しました」と、こちらも独特の“大九節”で、その想いを伝えていた。
さらに、役を演じる上で気を付けたことについて、松岡は「原作の良香も、大九さんが紡いだ良香も大好きなんですが、たくさんの女の子に届いてほしいというよりは、報われない人がたくさんいてほしいと思ってました」と、自身の役柄を通してメッセージを伝えると、「ポスターにラブコメって書いてありますけど、そのつもりでは撮ってないですね」とポロリ。「私もなの」と同調する大九監督に、「誰が書いたんですか?」と切り込む松岡。それに対し「言うんでないの、そういうのは」と、大人の対応を見せていた大九監督だった。
舞台挨拶にはその他、出演の渡辺大知、石橋杏奈、北村匠海が登壇した。
映画『勝手にふるえてろ』(ファントム・フィルム配給)
映画『勝手にふるえてろ』(ファントム・フィルム配給)は、恋愛経験のない主人公のOLが、2つの恋に悩み暴走する様子を描いた、芥川賞作家・綿矢りさによる同名小説を映画化したコメディ作品。
監督・脚本:大九明子 出演:松岡茉優、渡辺大知、石橋杏奈、北村匠海、趣里、前野朋哉、池田鉄洋、稲川実代子、栁俊太郎、梶原ひかり、金井美樹、小林龍二、後藤ユウミ、原扶貴子、松島庄汰、古舘寛治、片桐はいり ほか