ステージでは素顔を見せない“顔なきポップスター”として、世界的注目を集めるシンガーソングライター・Sia(シーア)。彼女が初の映画監督にして原案・脚本・製作まで手掛けた、オリジナル楽曲でカラフルに彩る新体感ポップ・ミュージック・ムービー、映画『ライフ・ウィズ・ミュージック』。
本作は、孤独で生きる希望を失っていたひとりの女性が、家族の存在や周りの人々の助けによって“愛する”ことを知り、居場所を見つける感動物語。アルコール依存症のリハビリテーションプログラムを受け、孤独に生きる主人公のズー(ケイト・ハドソン)は、祖母の急死により長らく会っていなかった自閉症の妹・ミュージック(マディ・ジーグラー)と暮らし始める。周囲の変化に敏感なミュージックとの生活に戸惑うズーに、アパートの隣人・エボ(レスリー・オドム・Jr.)が優しく手を差し伸べ、次第にズー自身も、孤独や弱さと向き合い少しずつ変わろうとしていくが‥‥。
これまで、アーティストとして数々の大ヒット曲を生み出してきたSiaは、楽曲はもちろん、「シャンデリア」や「ザ・グレイテスト」をはじめとしたミュージックビデオの独特な世界観も注目を集めてきた。新しい作品を発表する度に型破りな手法ととってきた彼女は、初の映画監督を務めるにあたり「今までにないセンセーショナルな映画を作りたい」と強く望んでいたという。また、「人々の感情をかき立てたかった」と本作への想いを語っており、その創作意欲が、自身が書き下ろした12曲の楽曲を、自己完結型のMVのようにリアルなドラマシーンに差し込むという、まさに新体感の音楽映画を生み出した。
孤独に生きる主人公ズーを演じたのは、『あの頃ペニー・レインと』を筆頭に数々の話題作に出演する名女優ケイト・ハドソン。数々の映画やミュージカルに出演するケイトは、監督としてのSiaを「素晴らしかった。人格が素敵なの、Siaは。みんながハッピーで気分よくいられるよう常に気を配ってくれていた」と現場の雰囲気作りを評価した上、「それに、とても指示が的確。自分の思い描くビジョンとそぐわないものがあれば、自ら小道具を動かしたりもする。表現したいことが明確で、フットワークが軽く、妥協がない。だから私たちも本物のライブアートに参加しているんだという気になれたのだと思う」と、そのアーティストとしての才覚を絶賛。
同時に、Siaは演技に関してはとても寛容で、キャストの考えを理解する姿勢も欠かせなかったという。「(Siaは)自分の考えも率直に言うし、それについてどう思うかの意見も求めてもくれた。もちろん私の意見を聞いたからといって、彼女のビジョンがブレることはなかった。優れた監督ってそういうもの。ストーリーを明確に理解していて、他者の意見を聞くことを厭わない優れた監督には、協力体制のとれる優秀なスタッフがついてくる。Siaとの仕事は、ものすごく楽しかった」と語る。