昨年のカンヌ国際映画祭に正式出品され、その年のアカデミー賞で台湾代表作品に選出、さらには同賞の国際長編映画部門でショートリスト入りを果たした、映画『左利きの少女』。このたび本作が2026年8月14日(金)より全国公開されることが決定した。
第77回カンヌ国際映画祭でパルム・ドールに輝き、米・アカデミー賞作品賞など4部門を受賞した『ANORA アノーラ』でインディーズ映画界を熱狂させ、時代の寵児となったショーン・ベイカー。その彼と大学生時代に出会い、『テイクアウト』で共同監督デビュー、以降はプロデューサーとして『タンジェリン』『フロリダ・プロジェクト 真夏の魔法』『レッド・ロケット』などで彼を支えてきたのが、本作で満を持して単独監督デビューを飾った台湾出身のツォウ・シーチンだ。
本作は、第98回アカデミー賞国際長編映画賞で台湾代表に選出され、同賞の最終候補15作品にリストイン、第26回東京フィルメックスでは観客賞を、第20回ローマ国際映画祭では最高賞を受賞するなど、広く支持を集めた。
ツォウ監督の出身地である台湾・台北に実在する「通化街夜市(臨江街夜市)」でロケーションが敢行された本作は、5歳の左利きの主人公・イージンが祖父から“左づかいは悪魔”と叱られたことに端を発している。実はツォウ監督も“元”左利きの少女で、祖父に右手を使うように助言を受けた実体験を基にしている。

賑やかな喧騒と色彩豊かな都会の片隅に暮らすシングル・マザーの母親、姉、そしてイージンの3人。厳しい生活のなか、困難を乗り越えようと奮闘する姿を、幼いイージンの目線を中心に据えてエネルギッシュかつ繊細に活写した本作は、人間の清濁を飲み込んだ家族ドラマとして共感を呼び、思いもよらないサプライズと感動をもたらす。ベイカーに強く勧めたことで『タンジェリン』が生まれたように、ツォウ監督はiPhoneを駆使して街の奥へと自在に入り込み、そこで生きる人々の日常を立ち上がらせた。古いしきたり、世代間のギャップ、“左利き”をモチーフとした制約‥‥。パーソナルな物語に文化的・社会的背景を織り交ぜながら、自分らしさを肯定する、温もりの感じられる作品に昇華させている。
このたび公開された予告映像では、冒頭から夜市の屋台が映し出され、湯気の上がった美味しそうな麺を小さな女の子が運んでいる。主人公・イージンは無垢な笑顔を見せたかと思えば、頬を膨らませて泣き始めるなど、クルクルと表情が変わって実に愛くるしい。母娘3人で暮らす楽しげなシーンの後には祖父母と食卓を囲んでいるイージンが祖父から「なぜ左手を使う、悪魔の手だぞ!」と咎められてしまう。左手を見つめ、罪悪感を抱くイージン。一方、母も姉も思わず涙がこぼれてしまうような何らかの事情がありそうで‥‥。単に仲良し家族を描いた“ありきたり”の物語には留まらず、「一生隠し通すつもりだったの?」というセリフからもその後の展開が一筋縄でいかない様相を呈しており、興味をそそる内容となっている。
映画『左利きの少女』は、2026年8月14日(金)より全国公開。

台北、夜市・麺屋台。5歳のイージンは、借金を背負ったシングル・マザーのシューフェンとハイティーンの姉イーアンと共に生活を立て直すべく田舎町から舞い戻る。ある日、昔気質の祖父に利き手である左手を“悪魔の手”とそしられ、罪悪感を抱きはじめたイージン。その悪魔の手は図らずも、家族それぞれがひた隠しにする《罪》をあぶり出していく。
監督:ツォウ・シーチン
出演:ニーナ・イエ、マー・シーユエン、ジャネル・ツァイ
配給:スターキャットアルバトロス・フィルム
©2025 LEFT-HANDED GIRL FILM PRODUCTION COMPANY LIMITED. ALL RIGHTS RESERVED.
2026年8月14日(金) ヒューマントラストシネマ有楽町、新宿武蔵野館、ヒューマントラストシネマ渋谷ほか全国公開
公式サイト left-handed-girl