Sep 08, 2023 news

“詩を生き、映画を生きた”監督・福間健二が最後に遺したこの世界への希望の贈りもの 映画『きのう生まれたわけじゃない』

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福間健二監督の最新作、映画『きのう生まれたわけじゃない』の予告映像、メインビジュアル、場面写真が公開された。

長篇第1作『急にたどりついてしまう』(1995)以降、既成概念にとらわれない自由で豊かな映画表現を探求してきた福間健二監督。最新作となる本作は、学校に行かない中学2年生の七海と、妻を亡くした元船乗りの77歳の老人、寺田との心の交流を描く。

七海を演じるのは幼い頃から舞台などに出演し、今回が映画初出演となるくるみ。そして、老人寺田役は、福間監督自身が演じる。

七海と心を通わせる「夫を亡くしたばかり」の岬と、若くして亡くなった寺田の妻綾子の2役を演じるのは、福間監督の『秋の理由』にも出演した正木佐和。寺田の「唯一の親戚」の次郎を演じるのは映画監督でもあり俳優の守屋文雄。いまおかしんじ、城定秀夫監督の作品などに出演している守屋を福間監督が観て、いつか自作に出てもらいたいと考えていたことが、今回実現した。

またピンク映画を中心に100作品以上に出演し、自身も監督でもある今泉浩一や、『ふゆうするさかいめ』(2020)を監督し、草野なつか監督『夢の涯てまで』(2023)に出演もしている住本尚子らも出演。福間映画ならではの独特のキャスティングも見どころとなっている。

この度公開されたメインビジュアルは、街角に立つ七海の正面ショットが採用されており、これから生きていくことへの不安を感じながらも、世界と対峙するかのようなまっすぐで強い表情は観るものを惹きつける。下方には、寺田と七海が土手を歩くロングショットと共に「この地上で、もうすこし生きてみる」という寺田の言葉を思わせるコピーが添えられている。

2023年3月、この作品を完成させた3日後に福間監督は脳梗塞で倒れ、療養中に肺炎を起こして4月26日に74歳で亡くなった。本作は「詩を生き、映画を生きた」福間健二監督の最後の作品となったが、予告映像では福間監督が映画企画時にのこした「人は人に出会い、何かを受け取り、与えあうことで、小さな希望をつかむことはできる」という言葉も使用されている。まさにそのように生きた福間健二が遺した、この世界への贈りもののような本作に期待が高まる。

映画『きのう生まれたわけじゃない』は、2023年11月11日(土)より全国順次公開。

作品情報
映画『きのう生まれたわけじゃない』

母と2人暮らしの七海は中学2年生。七海という名前をつけてくれた父は、ずっと前にどこかに行ってしまった。今日も学校には行かない。川べりで「夫を亡くしたばかりの人」岬と出会い、心が通じあう。77歳の寺田は、若いころに妻を亡くした元船乗り。老年にさしかかって、忘れていいわけではない過去が、不意に彼を不安にかき立てる。最近、老人たちが集まって飲み食いする「憩いのベンチ」に参加するようになった。そこにやってきた七海は、老人たちのありきたりの言葉に「きのう生まれたわけじゃないよ!」と反発する。七海は寺田とともに「憩いのベンチ」を抜け出して、2人の時間を持つことになった。寺田は、人の心を読むことができる七海におどろく。その夜寺田の前に、亡くなった妻綾子が現れる。

原案・脚本・監督:福間健二

出演:くるみ、福間健二、正木佐和、安部智凛、守屋文雄、蕪木虎太郎、住本尚子、谷川俊之、黒田武士、高平よしあき、常本琢招、保志実都貴、西山慧、柴山葉平、村上僚、今泉浩一、小原早織、町屋良平(友情出演)、伊藤洋三郎(友情出演)

配給:ブライトホース・フィルム

© 2023 tough mama

2023年11月11日(土) ポレポレ東中野ほか全国順次公開

公式サイト kino.brighthorse-film