パトリック・ディキンソン監督、リリー・フランキー主演による日英合作映画『コットンテール』。この度、本作の予告映像、ポスター、キャストコメント、場面写真が公開された。
本作は、東京と、イギリスで最も風光明媚なリゾート地でとして名高いイングランド北西部に広がる湖水地方・ウィンダミアを舞台に、家族の愛と再生を紡ぎ上げたロードムービー仕立てのヒューマン・ドラマ。
監督を務めたのは、学生時代にオックスフォード大学と早稲田大学で日本映画を学び、日本に造詣が深いパトリック・ディキンソン。監督自身の母親を看取った経験を元に書き上げた脚本に、深く共鳴したというリリー・フランキーを主演に迎えた本作は、昨年開催された第18回ローマ国際映画祭で最優秀初長編作品賞を受賞した。
長年人生を共に歩んできた妻・明子(木村多江)に先立たれた兼三郎(リリー・フランキー)は、明子の「イギリスのウィンダミア湖に遺灰を撒いて欲しい」という最後の願いを叶えるため、長らく疎遠だった息子の慧(錦戸亮)とその妻・さつき(高梨臨)たちとイギリスへと旅立つ。しかし、互いに長年のわだかまりを抱えた兼三郎と慧はことあるごとに衝突してしまう。さらに兼三郎には、慧に言えない明子とのもう一つの約束があった‥‥。
【コメント】
▼リリー・フランキー
過去に同じテーマの短編を撮っていたり、日本を舞台にした介護の問題を10年近く考えていたなど、“家族の介護”は監督にとってライフワークなのだと思います。だからこそ僕たちがどう監督に協力していくことができるかを考えていました。
(ラストシーンについて)
ネタバレになってしまうのであまりお話しできないのですが、監督からは明確な演技の指示がなかったんです。『考えないでください』と。撮影の時に『本当にこれで良いのかな』と不安もありましたが、緊張感を持って欲しかったのだと思いますし、兼三郎の行動や気持ちを明確にしてしまうと、このドラマの本質が変わってしまうという意識がありました。『無』でいて欲しいと言う監督の正解に即して演じることが正解で、分からない方がいいのだと思った。
▼錦戸亮
僕自身、海外の映画監督と撮影に臨むのは初めての経験でしたが、日本語が堪能な監督で、コミュニケーションもとっていただき、優しい空間での撮影でした。イギリスでの撮影期間中、毎朝お米を炊いて、自分のお昼用におにぎりを作っていたのですが、そのおにぎりも美味しいと言って食べてくれました。日本、英国双方共に、その場所でしか見られないとても綺麗な映像で繋がれた映画です。撮影期間はコロナ禍真っ最中でしたが、少しずつ近づく心の距離や、静かに温かく進んでいく物語を是非劇場でご覧ください!
▼木村多江
難しい役でしたが、才能溢れるパトリック監督との時間は、繊細なリハーサルを重ねた、俳優に寄り添ったもので、このように仕事ができたことは本当に幸せなことでした。そして、映画にも間違いなく、その繊細さが紡ぎ出され、悲しくも優しい普遍的な愛が流れています。監督の人を見る優しいまなざしが、観るものの心に沁みる何かを、そっと残してくれる、そんな映画です。
▼高梨臨
映画『コットンテール』がついに公開される事をとても嬉しく思っております。日英合作作品ということで、撮影でイギリスのロンドン、そして湖水地方にも行かせていただきました。夏のイギリスは、空気も景色も本当に素敵で、そこにイギリス人のパトリック監督が見る、日本の世界観も重なって、また新しい日本の景色も見ることができました。監督は役者に寄り添ってくれて、とても心の優しい監督でした。その温かさがこの映画の温かさを作り出してくれているのではないかと感じました。見てくださる方々の心にも届いてくれたら嬉しいです。
映画『コットンテール』は、2024年3月1日(金)より全国公開。
60代の作家、大島兼三郎の最愛の妻、明子が、闘病生活の末に息を引き取った。埋めようのない喪失感に打ちひしがれた兼三郎は、生前の明子が寺の住職に託した1通の手紙を受け取る。そこには明子が子供の頃に訪れたイギリスのウィンダミア湖に、自分の遺灰をまいてほしいという最後の願いが記されていた。兼三郎は遺言を叶えるために、長らく疎遠だった息子の慧とその妻さつき、4歳の孫エミとともにイギリスへ旅立つ。しかし互いにわだかまりを抱えた兼三郎と慧は事あるごとに衝突。単身ロンドンから湖水地方に向かった兼三郎は田園地帯で道に迷い、途方に暮れるはめに。やがて兼三郎は亡き妻に導かれたこの旅の果てに、人生の最も大切なことと向き合っていく。
監督・脚本:パトリック・ディキンソン
出演:リリー・フランキー、錦戸亮、木村多江、高梨臨、恒松祐里、工藤孝生、イーファ・ハインズ、キアラン・ハインズ
配給:ロングライド
©️2023 Magnolia Mae/ Office Shirous
2024年3月1日(金) 新宿ピカデリーほか全国公開
公式サイト longride.jp/cottontail