Jan 26, 2020 interview

佐々木蔵之介が語る喜劇だらこその“痺れる緊張感”、映画・ドラマ・舞台それぞれの魅力

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各現場の醍醐味、影響を受けたアーティスト

──2019年は『空母いぶき』や『ひとよ』、月9ドラマ『シャーロック』、さらに今年は本作のほか、大河ドラマ『麒麟がくる』、映画『記憶屋 あなたを忘れない』、『峠 最後のサムライ』と、作品ごとにまったく違うキャラクターを演じてらっしゃいますが、出演作を決める際はどんなことを大事にされているのでしょうか?

僕は作品を選ぶというよりは、出会ったタイミングでお受けするようにしています。「こういう役をやりたい」とか「こういう人とご一緒してみたい」ということよりも、お話をいただいて良いタイミングで出会った作品に全力で挑むようにしています。

──ドラマや映画だけではなく舞台でも活躍してらっしゃいますが、それぞれの現場で感じるお芝居の楽しさやおもしろさの違いなども教えていただけますか。

例えば『シャーロック』のようなドラマですと、撮ったものがすぐ放送されるので、リアルタイムで視聴者の感想を知ることができるというおもしろさがあります。喫茶店に入ると隣の席の方々が『シャーロック』の話をしていたりしますからね(笑)。それに時間に追われながら撮るので、回を追うごとにリズムやスピード感が掴めてくるというおもしろさもドラマの現場にはあります。連ドラは先の展開を知らないままお芝居をすることも多いのですが、映画は脚本が完成した状態で撮影に入るので、展開を知ったうえで芝居を作っていく楽しさがあります。舞台に関しては、一か月の稽古を経て、二か月近く、劇場という限定された空間でお客さまに観ていただく厳しさをすごく感じます。映像の現場とは違って舞台では最後までダメ出しをもらったりするので、千秋楽まで自分の役や芝居と向き合うことに価値を見いだせるといいますか。そんなことを感じながらやらせていただいています。

──佐々木さんが影響を受けた人物や映画、音楽などを教えてください。

僕はジョン・レノンが好きなのですが、彼は“弱さ”をさらけ出すことができる強さを持っていて、そこにすごく惹かれたので影響も受けていると思います。『Jealous Guy』では嫉妬心をストレートに歌っていますが、「嫉妬心がこんなにも強いメッセージソングになるのか!」と衝撃を受けましたし、オノ・ヨーコさんのことを歌った『Woman』は普遍的なメッセージソングとして多くの人に愛されています。そんな才能を持ったジョンってなんてカッコいいんだと、本当にすごい方だと思います。ちなみに一番好きな曲は「車輪を眺めてるだけ。こうしているのが好きなんだ」と歌っている『Watching The Wheels』です(笑)。

取材・文/奥村百恵
撮影/大川晋児

プロフィール
佐々木蔵之介(ささき・くらのすけ)

1968年生まれ、京都府出身。大学在学中から劇団・惑星ピスタチオの看板俳優として活躍。2000年にNHK連続テレビ小説『オードリー』で注目され、以降はドラマ、映画、舞台と幅広く活動。『超高速!参勤交代』(14年)で日本アカデミー賞優秀主演男優賞を受賞。近年の主な映画出演作に『嘘八百』『空飛ぶタイヤ』(18年)、『居眠り磐音』『空母いぶき』『ひとよ』(19年)など。2020年は大河ドラマ『麒麟がくる』、映画『記憶屋 あなたを忘れない』(公開中)、『峠 最後のサムライ』、舞台『佐渡島他吉の生涯』(5月)が控えている。

公開情報
『嘘八百 京町ロワイヤル』

かつて、大阪・堺で幻の利休の茶器で大勝負を仕掛けた古物商の則夫(中井貴一)と陶芸家の佐輔(佐々木蔵之介)。二人はそれぞれの人生を送っていたが、ひょんなことからお宝眠る古都・京都で再会を果たす。そこで出会ったのは、着物美人の志野(広末涼子)。彼女のけなげな想いにほだされて、二人は利休の茶の湯を継承し“天下一”と称された武将茶人“古田織部”の幻の茶器にまつわる人助けに乗り出すが…。それは、有名古美術店や大御所鑑定家、陶芸王子、テレビ番組をも巻き込む大騒動に――。
監督:武正晴
脚本:今井雅子 足立紳
出演:中井貴一 佐々木蔵之介  広末涼子 友近 森川葵 山田裕貴  坂田利夫 前野朋哉 木下ほうか 塚地武雅/竜雷太/加藤雅也
配給:ギャガ
2020年1月31日(金)公開
©2020「嘘八百 京町ロワイヤル」製作委員会
公式サイト:https://gaga.ne.jp/uso800-2/