Jan 26, 2020 interview

佐々木蔵之介が語る喜劇だらこその“痺れる緊張感”、映画・ドラマ・舞台それぞれの魅力

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大きな喜びを感じた中井貴一との再共演

──本作でも中井貴一さん演じる則夫と佐輔の掛け合いが楽しかったのですが、改めて中井さんとのお芝居について聞かせていただけますか。

続編のお話をいただいて、なによりも幸せに思ったのが(中井)貴一さんとの再共演でした。貴一さんはドラマや映画、舞台とオールラウンドで活躍してらっしゃって、さらに『ヘブン・アンド・アース 天地英雄』(03年)や『戦国』(11年)といった中国映画にも出演されています。いろんなことに挑戦しながらも第一線でずっと役者を続けてこられてきた貴一さんとお芝居ができるというのは、僕にとって本当に貴重で幸せなことです。

──中井さんと役を通してバディを組めるという点についてはいかがでしょうか?

これまでの作品では年下の役者さんとバディを組む役が多かったのですが、『嘘八百』では貴一さんと大人同士のバディが組めて、さらに大人の喜劇を作ることができました。そんな中で“芝居とは、役者とは”と互いに論じたりはせず、貴一さんと一緒にお芝居をしているだけで“どうやって作品や芝居と向き合っているのか”“どうやって現場にいらっしゃるのか”を間近で感じられるというのは非常に大きな喜びでした。

コメディだからこそ現場に必要な緊張感

──則夫と佐輔のバディ感は前作よりも強まったと思われますか?

今回の続編では則夫が佐輔に向かって「この器が400年後に誰かを焚き付けるかもしれない。俺はそういう器を探してたんだよ。贋作じゃなくて本物を作る力がお前にはあるんだ」と、佐輔の陶芸家としての実力を認めるシーンがありますが、それは則夫がいたからこそ力を発揮できたのもあると思うんです。彼らは友情というよりもお互いの持っている力を認め合っている関係なので、そこがいいなと僕は思います。貴一さんは先輩ですが、時には僕に任せてくださったり、僕の意見を受け止めてもくださるので、お互いに良い緊張感の中でお芝居をしていたように思います。どこか則夫と佐輔の関係とリンクさせながら演じたところもあったので楽しかったです。

──お二人の間に流れる良い空気感はスクリーンを通して伝わってきました。

ただ、喜劇でありコメディだからこそ張りつめたものも現場には必要で、お客さんを笑わせるために“どの間で台詞を言うか?”といった痺れる緊張感の中で撮影をしていたんです。それが楽しかったりもするのですが、基本的には笑いに対するアンテナみたいなものをものすごく研ぎすませながらコミカルなシーンを撮っていたように思います。

──アドリブ芝居で思わず素で笑ってしまったなんてことはありませんでしたか?

もしも「あれ? もしかして素で笑ってる?」と思ってくださったなら、それは作戦成功です。全部アドリブっぽく見せようと思ってコミカルなシーンは演じていましたから(笑)。