Jan 26, 2020 interview

佐々木蔵之介が語る喜劇だらこその“痺れる緊張感”、映画・ドラマ・舞台それぞれの魅力

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2018年にスマッシュヒットを記録した『嘘八百』の続編『嘘八百 京町ロワイヤル』が完成。中井貴一扮する大物狙いで空振りばかりの古物商・小池則夫と、佐々木蔵之介演じる腕は立つがくすぶっている陶芸家・野田佐輔の骨董コンビが復活し、美しき京美人・橘志野(広末涼子)とともに新たなコンゲームを繰り広げる。本作で再び佐輔を演じた佐々木が、撮影で意識したことや中井貴一との再共演について、さらに影響を受けた音楽などを語った。

“本物の陶芸家”に見えることを大切に

──前作に続きオリジナル脚本となりますが、今回はプロットの段階から関わってらっしゃるとお聞きしました。

「プロットを読んでみていかがでしたか?」と感想を求められたりはしましたが、お話の展開や内容に関して意見したりということはなかったです。というのも、前作で佐輔を演じたからこその感想というか感覚を求められていると思ったので、そういった観点から佐藤現プロデューサーとお話させていただきました。

──再び佐輔を演じるにあたり、どんなことを意識しましたか?

前作の時と同じく“本物の陶芸家に見えること”…というか、逆にそこ以外で意識したことはないといいますか(笑)。前作では佐輔は“菊練り”(陶芸で材料を練る方法のひとつ)を、今回は“蹴ろくろ”(駆動用の円盤の縁を足で蹴って回すろくろ)をやっているシーンが登場しますが、そこをいかに本物に見せるかというのがすごく大事でしたし、「俺は偽物じゃない。本気で作っているんだ」という佐輔の心情もきちんと表現しなければいけませんから、とにかく陶芸家に見えるように意識しながら演じていました。

──蹴ろくろを本作で初めて知ったのですが、挑戦されてみていかがでしたか。

いまは蹴ろくろを使っている陶芸家の方はほとんどいらっしゃらないそうですが、武(正晴)監督が陶芸の先生と打ち合わせをした工房に蹴ろくろが置いてあって、監督が聞いたところ、先生が弟子時代に使っていたものだったそうなんです。それでおもしろそうだから劇中で登場させようということになって。ただ、やるほうとしては足でろくろを蹴りながら手も動かさなければいけませんから、それは想像以上に難しかったですよ(笑)。何度も練習してから撮影に挑みました。

──陶芸はどちらかというと静かに作っているイメージでしたが、あのシーンは躍動感に溢れていてとてもワクワクしました。

たしかに“動”か“静”かで言ったら、陶芸は“静”のイメージがありますよね。前作の佐輔の陶芸シーンではバックにジャズが流れていましたが、今回は琴や三味線といった和の楽器を取り入れた音楽が流れていて、テンポよく見せていると思います。電動で回る陶芸用のろくろもありますが、自分の足で回す蹴ろくろだと、リズムやスピード、さらには気持ちまで、作っている人間の動力で作られていくので、同じ物を作ったとしてもすべて違う陶芸品になるというのもおもしろいです。そこに個性が出ますから。実際に陶芸を体験してみて土を捏ねるところから楽しいと感じたので、佐輔の気持ちが少しわかったような気がしました。