- 杉山:
-
それについて言うと、当時、九州に住んでいた共働きのおうちの娘さんが、鍵っ子のさみしさを紛らわすために毎日のようにテレホンサービスを利用したら電話代がとんでもないことになってしまった、ということがあったそうですよ。ほかにも、日本中でそんなことがあったものだから、最終的には地域ごとに電話番号を用意するかたちになったんだとか。
- 古川:
-
それくらいの影響力があったんだよね。
アルプスの少女ハイジはいまだ現役!
- 平野:
-
さて、杉山さんの初期の代表作というと、何と言っても『アルプスの少女ハイジ』(1974年)。ハイジ役はどのようにして射止めたのでしょうか?
- 杉山:
-
これはいろいろなところで言っているんですが、ハイジ役のオーディションの時、風邪引いて高熱を出しちゃったんですよ(苦笑)。当時、子供のキャラクターは澄んだハイトーンの声でやるのが常識だったのに、その声が出なくなってしまったんですね。でも、結果的にはそれが良かったみたいです。だいぶ後に、録音監督の浦上靖夫さんから「隣に住んでいる、身近な女の子のような声だったのが良かった」と教えてもらいました。
- 平野:
-
そして、ハイジもリカちゃんと同じくらい長く演じられていますよね。
- 杉山:
-
番組自体は1年なんですけど、CMとかで今でもやらせてもらっていますね。最近だと家庭教師のトライさんとか(笑)。
- 平野:
-
あれ、すごいですよね!!
- 杉山:
-
最初の頃は、既存の映像と音声をきれいに継ぎはぎして作ってると思っている人が多かったみたいですが、全部新録なんですよ。CMが放送され始めて1年くらい経ったころに、事務所の新年会で「家庭教師のトライのCMに、カコちゃん(編集部注:杉山さんの愛称)とそっくりの若い子が声を当ててるの知ってる?」なんて言われたこともありましたね。今でも私がやってるって言ったら絶句されました(笑)。
- 古川:
-
同業者が分からないほどのハイクオリティだったわけだ。
- 杉山:
-
でも、おかげ様で当初は1年間だけの契約だったのが、かれこれ5年以上続いています(編集部注:CMは2012年6月スタート)。CMが始まってから、生徒さんがものすごく増えたらしくて。
- 古川:
-
それはギャラを増やしてもらわないといけないね(笑)。
- 杉山:
-
残念ながらおんじ役の宮内幸平さん(『ドラゴンボール』亀仙人役など)はお亡くなりになり、クララ役の吉田理保子さん(『魔女っ子メグちゃん』メグ役など)は声優を引退なさっているので、別の方がやられているのですが、ペーター役の小原乃梨子さん(『ドラえもん』のび太役など)、ロッテンマイヤー役の麻生美代子さん(『サザエさん』磯野フネ役など)などは、オリジナルのキャストがそのまま演じているんですよ。
- 平野:
-
皆さん、本当に当時のままの声なので、見たことのない人はぜひ見てみてほしいですね(編集部注:最新のCMを家庭教師のトライのホームページで配信していますので、ぜひご覧になってください。 https://www.trygroup.co.jp/cm/)