Mar 24, 2018 interview

ハイジ役で今でも現役! 名優・杉山佳寿子の声優道

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レジェンド声優インタビュー 杉山佳寿子[70年代ヒロイン編]

arranged by レジェンド声優プロジェクト

アニメ黄金期の立役者である「レジェンド声優」と、自らもレジェンドである声優・古川登志夫さん、平野文さんによる濃密トークをお送りするレジェンド声優インタビュー。今回ご登場いただくのは、1970~80年代のテレビアニメ成長期を支えた名優・杉山佳寿子さん。『アルプスの少女ハイジ』などの名作から、『うる星やつら』『Gu-Guガンモ』『キテレツ大百科』といった、80年代人気作品まで、幅広い舞台で活躍してきた杉山さんの声優道をお伺いしてきました!

さまざまなタイプのヒロイン役で日本中の子供たちを虜に

古川登志夫(以下、古川)

今回は文句なし、文字通りの「レジェンド」、杉山佳寿子さんにお越しいただきました!

平野文(以下、平野)

このスリーショットはドキドキしちゃいます。なんと言っても、『うる星やつら』(1981年)のトリオですからね。

杉山佳寿子(以下、杉山)

3人でご一緒するのはすごく久しぶりですよね。ちなみに、古川さんとは『うる星やつら』よりももっと前に、『マグネロボ ガ・キーン』(1976年)で共演しているんですよ。

古川

なんと僕の主演デビュー作なんです。杉山さんはヒロイン役で。

杉山

すごいアニメだったわよねぇ。主人公とヒロインが合体して変身するっていうんだから……(笑)。

古川

僕がマグネマン・プラスで、杉山さんがマグネマン・マイナス。男と女がプラスとマイナスで合体するって……そのまんまじゃないですか! 子供番組とは思えない(笑)。

平野

その頃はまだ、登志夫さんも新人で?

古川

そうそう。僕だけが素人でね。皆さん、すごく上手なので大変でした。杉山さんに、柴田秀勝さん(『タイガーマスク』ミスターX役など インタビュー記事はこちら)、はせさん治さん(『サイボーグ009』張々湖役など)、北浜晴子さん(『マジンガーZ』あしゅら男爵役など)……、そうそうたるメンバーでしょう? 全39話、最後まで緊張しっぱなしでしたから。内海賢二さん(『北斗の拳』ラオウ役など)にはだいぶ励ましていただきました。

杉山

いやいや、古川さんだって、初主演とは思えないくらいお上手でしたよ。

平野

杉山さんは、その頃にはもう、声の演技を始めて10年近く経っていたんですよね。まずは、私たちが知らない、それまでのお話を聞かせていただけますか? NHK名古屋放送児童劇団から、上京してテアトル・エコーに入り、そこでデビュー作の『冒険ガボテン島』(1967年)に抜擢されたんですよね。

古川

当時のテアトル・エコーには、すごい人がたくさんいたんだよ。

平野

熊倉一雄さん(『名探偵ポアロ』ポアロ役など)、山田康雄さん(『ルパン三世』ルパン役など)、平井道子さん(『魔法使いサリー』サリー役など)、太田淑子さん(『リボンの騎士』サファイア役など)……今思えば、私たちが子供の頃に見ていた、アニメ、人形劇、ラジオドラマの多くにテアトル・エコーの役者さん方が出ていらっしゃいましたね。

杉山

舞台の役者が、副業として声の仕事をやりはじめたころだったのよ。よその劇団では嫌がって引き受けてくれないのを、エコーは面白がって受けていたみたいね。『冒険ガボテン島』もそれで役が回ってきて。

平野

私、『冒険ガボテン島』のオープニング、すごく記憶に残っているんですよ。ガッボテン、ガボッテン、ガボッテン♪って(笑)。

杉山

すごい! よく覚えているわねぇ(笑)。

平野

前番組が『宇宙少年ソラン』(1965年)で、その流れで『冒険ガボテン島』も楽しみに見ていたんです。子供たちが無人島で暮らすっていうとても夢のあるお話でした。

杉山

今にして思うと、すごくヘンなお話だったんだけどね(笑)。

平野

そして、それとちょうど同じタイミングでタカラのリカちゃん人形のテレホンサービスも始まりました。

杉山

リカちゃんのテレホンサービスは1967年から、何と29年(1968年~1997年まで)もやらせていただいたんですよ。

古川

すごいね!ちなみに、テレホンサービスの収録はどんなふうにやっていたの?

杉山

年に4回、季節を先取りするかたちで収録していました。9月に「あけましておめでとうございます」って(笑)。

平野

でも、テレホンサービスってのは素晴らしいですよね。当時は地方に住んでいると見たいアニメがやっていないということがあったんですが、これなら日本中どこに住んでいても、大好きなリカちゃんの声を聞けるわけですから。