Jul 08, 2018 interview

「原作に敬意を払いながら演じたい」杉咲花、徹底的に向き合った『BLEACH』への想いを語る

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“安心”した福士蒼汰との共演、敬意を払って“研究”した原作

 

──福士さんとは映画『無限の住人』(17年)でもご一緒されていますよね。

福士さんとは、作品を5本ぐらいご一緒させていただいています。なので福士さんが現場にいてくださるだけで安心しましたし、スタッフの方々とも談笑されていて現場を盛り上げてくださる姿が印象的でした。

 

 

──ルキアが刀の稽古を一護につけてあげるシーンがありましたが、一護より上手くなくてはいけないので、練習も相当大変だったのではありませんか?

殺陣の経験はあったのですが、前回の殺陣のお芝居から少し時間が経っていましたし、体が忘れてしまっていたので、初心に戻る気持ちでかなり練習しました。というのも、練習の初日に想像よりも体が動かず、「大丈夫だろうか…」と不安になってしまったからなんです。福士さんは殺陣の経験がありますし、ルキアの殺陣が一護より下手に見えたらよくないので、それ以降は練習時間を増やすなどして、とにかく必死で練習しました。

──ルキアが一護を護るシーンが登場しますが、女性が男性を護るというのは現代に生きる女性ならきっと共感できるのではないかなと思いました。杉咲さんはどう思いますか?

この作品に関して言うと、一護よりルキアのほうが精神的に大人なので護ってあげたくなるというか、ルキアは一護に対して母性のようなものを少し感じているのかなと思いました。

 

 

──殺陣の話に戻りますが、戦闘モード時のルキアの立ち姿や刀の構え方など、見た目は少女なのにすごくカッコ良く凛としていて素敵でした。鏡を見て研究されたりしたのでしょうか?

なるべくルキアらしく見えるように意識はしていたのですが、鏡を見て練習したり研究することはしなかったです。原作がある作品に出演させていただく時は、毎回原作をコピーして台本の同じシーンの箇所に貼るようにしているのですが、それは原作に敬意を払いながら演じたいという想いがあるからです。表情や立ち振る舞いなどは、とにかく原作を研究して演じていました。

 

 

演技に対する価値観を大きく変えた、ある監督の言葉とは?

 

──『無限の住人』の三池崇史監督を始め、『トイレのピエタ』(15年)の松永大司監督、『湯を沸かすほどの熱い愛』(16年)の中野量太監督など、さまざまな監督とお仕事されていますが、印象に残っている監督の言葉や演出は何かありますか?

松永大司監督との出会いは、自分の中ですごく大きかったです。監督が「演じるのではなくその人になれ」、「嘘をつくな」とおっしゃっていて、それまで演技をすることは嘘をつくことだと思っていたのですが、どれだけ嘘をつかずに演じるかが大事なんだということに気付くきっかけをいただきました。怒るシーンも怒っているふりをするのではなく、本当に怒らないと監督がオッケーを出してくださらなくて。そんな風に自分の身を削ることを求められている気がしましたし、その演出のおかげで初めて出せた感情もありました。演じることに対しての価値観を大きく変えてくださった松永監督に感謝しています。

 

 

──最後に、「otoCoto」ではお気に入りの本を紹介していただいているんですが、杉咲さんの最近オススメの本を教えていただけますか。

花人の中川幸夫さんの「花人 中川幸夫の写真・ガラス・書―いのちのかたち」という、生け花や書道の作品などが一冊の本にまとまった写真集がお気に入りです。中川さんの生け花と出会ったのは、COMME des GARÇONS(コム デ ギャルソン)のデザイナー川久保玲さんがプロデュースしたDOVER STREET MARKET GINZAで、初めて見た時にすごく衝撃を受けて、一気に中川さんの作品のファンになってしまったんです。大量のお花を腐らせて、それを潰して赤い液体のようなものを混ぜてガラス板で潰した作品が生け花として展示されていて、前衛的な発想がすごく面白くて圧倒されました。是非みなさんにも中川さんの生け花をご覧いただきたいです。

 

取材・文 / 奥村百恵
撮影 / 三橋優美子

 

 

プロフィール

 

杉咲花(すぎさき・はな)

1997年生まれ、東京都出身。2016年の『湯を沸かすほどの熱い愛』で第40回日本アカデミー賞最優秀助演女優賞、新人俳優賞を受賞。近年の主な出演作は映画『トイレのピエタ』(15年)、『無限の住人』(17年)、NHK連続テレビ小説「とと姉ちゃん」(16年)、「花のち晴れ~花男 Next Season~」(18年)など。今年は『パーフェクトワールド 君といる奇跡』(10月5日公開)、『十年 Ten Years Japan「DATA」』(秋公開)が待機。2019年の大河ドラマ「いだてん~東京オリムピック噺~」に出演する。

 

作品紹介

 

映画『BLEACH』

高校生・黒崎一護はユウレイが見える霊感の持ち主。ある日、家族が人間の魂を喰らう悪霊・虚<ホロウ>に襲われてしまう。そこに現れたのは死神を名乗る謎の女・朽木ルキア。彼女は一護に究極の選択を迫る。このまま家族とともに殺されるか、世の中の全ての人を悪霊・虚<ホロウ>から護る《死神》になるか――。
《死神》として生きていく道を選んだ一護の先には、想像を超えた闘いが待ち受けていた。

映画『BLEACH』
原作:「BLEACH」久保帯人(集英社ジャンプ コミックス刊)
監督・脚本:佐藤信介
脚本:羽原大介
音楽:やまだ豊
出演:福士蒼汰 杉咲花 吉沢亮/真野恵里菜 小柳友/田辺誠一 早乙女太一 MIYAVI/長澤まさみ 江口洋介
主題歌/挿入歌:「Mosquito Bite」/「MILK」
[ALEXANDROS](UNIVERSAL J / RX-RECORDS)
製作:映画「BLEACH」製作委員会
制作プロダクション:シネバザール
配給:ワーナー・ブラザース映画
2018年7月20日(金)公開
©久保帯人/集英社 ©2018 映画「BLEACH」製作委員会
公式サイト:bleach-movie.jp
公式Twitter:@bleach_moviejp

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原作紹介

 

©久保帯人 集英社

「BLEACH モノクロ版」久保帯人/週刊少年ジャンプ

2001年~2016年にかけて「週刊少年ジャンプ」(集英社)で連載され、全74巻の全世界シリーズ累計発行部数が1億2000万部を誇る国民的人気コミック。第50回小学館漫画賞(少年向け部門)を受賞し、2004年~2012年にはTVアニメ化された。日本のみならず、世界各国でも熱烈な支持を集めている。

 

杉咲さんオススメの写真集

 

「花人 中川幸夫の写真・ガラス・書―いのちのかたち」中川幸夫/求龍堂

前衛“いけ花”を創造した作家・中川幸夫が自ら撮影したいけばなの写真集で、花器という概念をこえたガラス作品や奔放に筆を揮った書など、151点をカラー図版で紹介。孤高の表現者・中川幸夫の創造の世界を堪能できる。2005~06年の宮城県美術館、丸亀市猪熊弦一郎現代美術館カタログを書籍化。