Oct 08, 2019 interview

是枝裕和が明かす『真実』舞台裏と印象に残るドヌーヴからの言葉、母と観た思い出の映画

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美人女優が好きだった母親の思い出

――『三度目の殺人』のインタビューでは、是枝監督の読書体験について語っていきただきました。今回は映画体験について教えてください。

初めて映画館で観た映画は、ディズニー映画『うっかり博士の大発明 フラバァ』(61年)だったと思います。家族と一緒に池袋の映画館に出掛けた覚えがあります。母が映画好きだったこともあって、テレビで放映される洋画は子どものころによく一緒に観ていました。ヴィヴィアン・リーの『哀愁』(40年)、イングリッド・バーグマンの『ガス燈』(44年)、ジョーン・フォンテインの『レベッカ』(40年)などが印象に残っています。母はきれいな女優が好きでしたね。大学に進んでからは、名画座でよく映画を観るようになりました。大学のすぐ近くにACTミニシアターという雑居ビルに入った小さなシネクラブがあり、そこの会員になって通っていました。年間1万円を払うと、いつでも観ることができたんです。授業はろくに出席せずに、アルバイトするか映画館に行くかのような日々でした。

―― 是枝監督が映画監督になることを意識するようになった作品はありますか。

大学のころはシナリオライターになることを考えていたのですが、映画監督の持つ作家性というのを意識するようになったのはフェデリコ・フェリーニ監督だったかもしれません。フェリーニ監督の『道』(54年)と『カビリアの夜』(57年)はACTミニシアターで観た覚えがあります。大学で岩本憲児先生に習っていたことから、岩本先生が翻訳したフェリーニの本『私は映画だ / 夢と回想』も読みました。でも、自宅の部屋には『明日に向って撃て!』(69年)のポスターを貼るなど、ミーハーな部分もありました(笑)。

―― 是枝監督が映画の世界に進んだきっかけは、少なからず映画好きだったお母さんの存在もあったようですね。

そうですね。少なからず母の影響があったことは確かでしょうね。

取材・文/長野辰次
撮影/名児耶 洋

プロフィール
是枝裕和(これえだ・ひろかず)

1962年、東京都生まれ。早稲田大学第一文学部を卒業後、テレビマンユニオンに参加し、主にドキュメンタリー番組を手掛ける。宮本輝原作の『幻の光』(95年)で監督デビュー。『誰も知らない』(04年)は柳楽優弥にカンヌ国際映画祭最優秀男優賞をもたらした。『そして父になる』(13年)は同映画祭コンペ部門で審査員賞を受賞。2014年独立し、西川美和監督らと制作者集団「分福」を設立。『万引き家族』(18年)は同映画祭の最高賞にあたるパルムドールを受賞した。

公開情報
『真実』

国民的大女優ファビエンヌ(カトリーヌ・ドヌーヴ)が自伝本『真実』を出版。アメリカで脚本家として活躍する娘のリュミール(ジュリエット・ビノシュ)、テレビ俳優の娘婿ハンク(イーサン・ホーク)、二人の娘のシャルロット、ファビエンヌの現在のパートナーと元夫、そして長年の秘書…。お祝いと称して、集まった家族の気がかりはただひとつ。「いったい彼女は何を綴ったのか?」――。そしてこの自伝は、次第に母と娘の間に隠された、愛憎渦巻く“真実”をも露わにしていく。
原案・監督・脚本・編集:是枝裕和
撮影:エリック・ゴーティエ
出演:カトリーヌ・ドヌーヴ、ジュリエット・ビノシュ、イーサン・ホーク、リュディヴィーヌ・サニエ
配給:ギャガ
2019年10月11日(金)公開
©2019 3B-分福-Mi Movies-France 3 Cinéma
photo L. Champoussin © 3B-Bunbuku-Mi Movies-FR3 
公式サイト:gaga.ne.jp/shinjitsu/

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