Aug 22, 2019 interview

デクスター・フレッチャー監督が『ロケットマン』に込めた“サークル・オブ・ライフ”というテーマ

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『ボラプ』から『ロケットマン』へ

――エルトンの衣装や小道具を自由に使えたそうですね。

衣装デザイナーのジュリアン・デイと監督の僕は、エルトンのどんなコスチュームも再現する権限が与えられた。ただ、エルトンが実際に使ったコスチュームをそのまま復元するわけじゃなく、インスピレーションを受けて新たにデザインするのが最初からのコンセプトだった。

――新たに発展させたコスチュームを、エルトンに確認してもらったのですか?

例えば悪魔のコスチュームなんかは、それを見たエルトンが地団駄を踏んで悔しがっていた。「こういうのを当時、僕も着たかったんだよ!」ってね(笑)。衣装に関して僕が最も印象に残っているエピソードは、NYのマディソン・スクエア・ガーデンとLAのトルバドールのシーンを撮った時のことだ。当時のエルトンのコスチュームが参考のために持ち込まれたのだが、それがタロン・エジャトンが絶対に着られないほど小さいサイズだった。それくらい、実際のエルトンは小柄だということ。ステージではあれほど大きく見えるのが、スターの証拠というか、衝撃だった。

――エルトンにとってコスチュームは、自分を守る“鎧”だったそうですね。

それはエルトンから直接聞いたわけじゃないけど、アーティストにとって衣装はそういうものだろう。鎧や仮面の役割を果たすんだ。でもエルトンの場合は、アーティストであると同時にショーマンでもある。5万人の観客の前に登場し、一瞬で視線をクギづけにするには、見た目のインパクトやスペクタクル感が必要だったのさ。音楽にプラスアルファの何か、そういうエンタテインメントがコスチュームに反映されていたのだろう。

――それにしても『ボヘミアン・ラプソディ』の後任監督を任され、その後すぐに『ロケットマン』の撮影と、よく成し遂げましたね。

じつは2~3年前に『ボヘミアン・ラプソディ』の監督のオファーを受けていたので、内容は十分に把握していたし、実際に自分で撮る心構えはあった。だからまったく戸惑いはなかったよ。後任監督をしてほしいと連絡を受けたのが水曜日で、翌週の月曜には撮影が始まると聞かされた。返事を迷ってる時間がなかった。それだけのことだよ(笑)。

取材・文/斉藤博昭
撮影/名児耶 洋

プロフィール
デクスター・フレッチー

1966年生まれ、ロンドン出身。9歳の時、『ダウンタウン物語』(76年)で俳優のキャリアをスタートさせ、『エレファント・マン』(80年)、『ロック、ストック&トゥー・スモーキング・バレルズ』(98年)などに出演。2011年、『ワイルド・ビル』で監督デビューを果たす。日本でも大ヒットを記録した『ボヘミアン・ラプソディ』(18年)では、ノンクレジットだが、撮影最後の数週間とポストプロダクションを引き継ぎ、最終監督を務めた。ほかの監督作に『サンシャイン/歌声が響く街』(13年)などがある。

公開情報
『ロケットマン』

グラミー賞を5度受賞、『ライオン・キング』の主題歌『愛を感じて』でアカデミー賞歌曲賞を受賞し、代表曲『ユア・ソング(僕の歌は君の歌)』は世代を超えて歌い継がれている伝説的なミュージシャン、エルトン・ジョン。その成功の裏には、悲しくも壮絶なドラマがあった――。誰からも愛されなかった少年は、いかにして世界中で愛され続ける名曲を生み出したのか? 彼の幼少期から鮮烈なデビュー、そして愛されたいと常にもがき続けた半生を、数々の名曲とともに描く。
監督:デクスター・フレッチャー
脚本:リー・ホール
製作:マシュー・ヴォーン、エルトン・ジョン
出演:タロン・エジャトン、ジェイミー・ベル、ブライス・ダラス・ハワード、リチャード・マッデン
配給:東和ピクチャーズ
2019年8月23日(金)公開
©2018 Paramount Pictures. All rights reserved.
公式サイト:https://rocketman.jp/