Sep 22, 2019 interview

西島秀俊が振り返る『任侠学園』での“新鮮な経験”と“反省会”、映画漬けだった日々

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北野武の言葉が生きる支えに

──西田さんが反省会に参加された時はどんなお話をされていましたか?

「大変なこともあるけどがんばって続けなさい。役者を一生懸命、続けることが大事だよ」というお話をしてくださいました。お若いころからずっとスターとして活躍し続けてこられた西田さんの言葉はとても重みがありましたし、これまでにいろいろと大変な思いをされてきたというお話までしてくださったので、話を聞きながら涙している若手もいました。僕自身ももっとがんばらなくてはと、改めて強く思いました。

──西島さんから若手の俳優さんたちに対して助言されることもあったのでしょうか?

いまの若手俳優のみなさんはすごく真面目で、いろんな技術を習得しているし良い意味で貪欲だと思います。逆に僕のほうがお稽古の先生を紹介していただいたり、もちろん僕が紹介できることがあればそれを共有したり。年齢やキャリア関係なく情報交換できたのはすごくありがたいことでした。

──本作では高校生が阿岐本組の人たちと出会って少しずつ成長していく姿も描かれていますが、西島さんに大きな影響を与えた方をお一人挙げるとしたらどなたですか?

北野武さんはお会いする前からずっと好きで作品もよく拝見していたのですが、お仕事でご一緒させていただいた時はすごくいろんなことを考えさせられました。北野さんに言われたとある言葉は自分が生きていくうえでの大きな支えになっています。それまで北野さんのような発想をされる方に会ったことがなかったので衝撃を受けましたし、いただいた言葉を常に大事に心に留めながらひとつひとつの作品と向き合うようにしています。

──そのお言葉というのは誰にも明かさずに西島さんの中でずっと大切にしてこられたのでしょうか。

そうですね…お話できずすみません…、これからも僕の中で大切にしまっておきたいと思います(笑)。

──劇中で「簡単に、世界なんて変わんないよ。ただ負けただけじゃん」と言う生徒・ちひろ(葵わかな)に対して、「何も残らねぇのは、闘わなかった時だけだ」と返す日村の台詞がすごく好きだとおっしゃっていましたが、ご自身でもそれを実感することはありますか?

闘うことを何かチャレンジすることに置き換えると、当然うまくいかない可能性のほうが高いわけで。それでもやってみなければ次に進めないので、無謀と思いながらも繰り返しチャレンジしたいという気持ちは僕自身も持っています。

──そのチャレンジ精神が俳優を続けるモチベーションにもなっているのではないでしょうか。

そうですね。あまり器用なタイプではないので、ゆっくりしたペースでやってきたからこそこの年齢になってもまだまだやっていないことがたくさんあるのではないかと思います。まだまだこれからも挑戦したいことが山ほどありますし、ひとつひとつ経験していけたらと思っています。