『ONE PIECE』名シーンの裏側
古川 ルフィといえば、「海賊王に、おれはなる!!」っていう有名なセリフがあるんだけど、もうこれがすごいんだ。「海賊王に・・・」ってスラっと言って、最後だけ「おれはなる!!」(番組内では、この決め台詞を叫ぶ貴重な様子も公開)。それでもう、ビシッと決まっちゃうんだよね。あれは計算してやっているの?
田中 やっぱり毎回言っているものって、ある意味 “型” ができますね。
古川 計算じゃなくて “技” で、できちゃうんだね。
田中 だから映画の時にすごく長い尺できた時なんかは、どうせいっちゅうんじゃ!って思いましたね。
古川 そういう意味でいえば、演出家の狙いってすごいよね。エースが死ぬ時、身体に穴あけられちゃっているシーンがあるじゃないですか。リアルに苦しそうに演じようとしたら「いや、淡々と無傷のようにやってください」って言われてね。オンエア観ると、なるほどって演出家の狙いがわかったんですよ。
田中 わかります。昔一回ね、お互いに遠慮した演技をしちゃったことがあって。向こうは爆音を入れたいから、セリフは声を張って言ってくれって言われたの。胸元にビビを抱いていて、耳がすぐ近くにあるから、ささやくように言いたいじゃないですか。「じゃあわかりました、なるべく声張ります」って言ったら、向こうも「じゃあなるべく声張ってください」みたいなことになって。その後オンエアを観て思ったんですよ。あぁ、演出プランに従えばよかったなって。で、次に同じような場面があった時に監督が「真弓さん、囁いていいです。爆音下げます」って言ってくれて。ちょっとずつ遠慮するのはいいものが出来ない。
古川 僕もオンエアを観たときに、すごいなぁこの演出家はって思いました。最終的に従ってよかったなと。でもやっているときは疑問を持ちながらやっていましたからね。
田中 まぁ、マンガですからね。
古川 でもやっぱり演じる側は一瞬考えますよね。