“どれも全然顔が違う”“命が輝いている感じ”――主演二人の魅力
――風間監督とは何か話をされましたか?
監督が学生時代に撮っていた作品は、抒情的というか、どちらかと言えば小説的なイメージのものだったんです。言ってしまえば「チア男子!!」ぽくなかった。監督は商業映画1作目ということもあって、最初に脚本を読んだときに、もしかしていろいろなしがらみがあって抑圧されちゃってるのかな? と心配になってしまったので、二人で日比谷のウィンナーが美味しいお店に行って「今、大丈夫? 撮りたくないものを撮らされてない? だったらごめんね?」みたいな話をしました。もちろんそのときは大丈夫ですって言う他ないと思うんですけど、二人で話したことが監督に良いように作用していたらいいなと。私は勝手にスッキリしました。「やだったらごめんね」というのを言いたかったから(笑)。
――ハル役の横浜さんはいかがでしたか?
私は演技のうまい・へたがわかる人間ではないので、本人とお会いしたときの印象の話になってしまうのですが、私は写真によって顔が変わる人が好きなんですね。横浜さんって左右で目の大きさが違うんですよ。だからどちらから撮られるかによって顔の印象が変わって見える。最近だとピンクの髪で人気を集めましたが、髪型ひとつであんなにも印象が変わる。これまで出演した映画のポスターを見ても、どれも全然顔が違うんですよ。それで、撮影現場の見学で初めて生の姿を見て、「生だとまた全然違う!」と驚きました。静止画と動画でも変わるんですよね。能動的にベストショットを探させられてしまう俳優さんだなと思いました。女性だと前田敦子さんが同じタイプで、メイクや髪型、衣装によってガラッと印象が変わりますよね。前田さんって絶世の美女に見えるときもあれば普通の女の子に見えることもあるんです。横浜さんもそんな気がします。あとは、対談したときに声が素敵だなと思いました。もっと聞いていたくなる声をしているのは重要ですよね。
――この映画で身体能力の高さが証明されましたよね。
空手仕込みの身体能力がこの映画によってバレたら、彼は大変ですよ。これからとんでもなく大変な役作りを強いられる役がジャンジャン降ってくるんじゃないですか。私の中ではこれまで佐藤健さんがそういうポジションだったんですよ。殺陣もダンスも、料理人の所作もできるみたいな。佐藤さんが30歳になる今、横浜さんが新たに身体能力発揮系の若手俳優になるかもしれないですよね。それは限られた人しかいられないポジションだから、ぜひ無理はせずとも頑張っていただきたい。
――カズ役の中尾(暢樹)さんはいかがでしたか?
『チア男子!!』を観て、彼が戦隊ものをやっていた理由がとてもよくわかりました。河原でチーム名を発表するシーンで、この人このまま変身するかも! って思ったんです。細胞がヒーローっぽいですよね。現場でお会いしたときはチラッとしかお話できなかったんですけど、役柄そのままの印象というか、命が輝いている感じがしました。そういう人も貴重だと思います。