アイヌの心、和人の心
ーーアシㇼパといえばアイヌ語のセリフも、苦労されたんじゃないですか?
アイヌ語も難しかったですね。ひとつひとつ単語を細かく分解して覚えていると覚えられなくて‥‥。あんなに何回も頭に入れたのに、急に、 最初の言葉なんでしたっけ?ってなっちゃうこともあって、そこはちょっと苦労しました。
ーー覚えているアイヌ語はありますか?
やっぱり、
「カント オㇿワ ヤク サㇰ ノ アランケㇷ゚ シネㇷ゚ カ イサㇺ」
「天から役目なしに降ろされたものはひとつもない」という意味の言葉です。
あとは
「クトゥラ シサㇺ オハウ オㇿ シ オマレ ワ エ」
「一緒にいた男は汁物にウンコを入れて食べる」ですかね(笑)。
結構覚えてますね。
ーーそのセリフのように、本編中コミカルな要素も入ってきます。そういったシーンはどのように演じられたんですか?
今まで、すごくシリアスなシーンをやっていたのに、急に変顔をするシーンも入ってきたりするので、切り替えが難しかったですね。
漫画だとそれがすごく魅力になっているじゃないですか?なので、映画もそのバランスで面白くなるんだろうなと思いつつも、演じている方としては、”気持ちのつながりってどうしたらいいんだろう”って思ってしまうところもちょっとありました。そこはもう”コレはコレ、アレはアレ”、と割り切りましたけど(笑)。
ーーそうなんですね。”オハウ”や”オソマ”といえば、本編中にアイヌの料理もたくさん出てきますよね。実際にあの料理は食べられたんですか?
はい。原作に描かれているもので、手に入るものは同じものを使って、獲っちゃダメな食材は他の食材で代用しています。北海道特有のニリンソウといった植物は、本物を使って作っていて本当に美味しかったです。
ーーどれが一番美味しかったですか?
一番美味しかったのは桜鍋ですね(笑)。私、初めて食べたんですよ!
ーーそこは馬肉なんですね‥‥。
お味噌が入っているお鍋って美味しいんだなと思いました。やっぱり味噌がいいですよね! 撮影しているときは”オソマだ”って嫌な顔をしているんですけど、実際にお味噌の匂いがすごくするので、”ああ味噌のいい匂いだな”って思っちゃう日本人の心を押し殺して芝居をしてました(笑)。
取材・⽂ / 小倉靖史
撮影 / 岡本英理
ヘアメイク: 菅長ふみ
スタイリスト: 中井彩乃
舞台は気高き北の大地・北海道。時代は、激動の明治後期。「不死身の杉元」と異名を付けられた日露戦争の英雄・杉元佐一は、ある目的のために大金を手に入れるべく、北海道で砂金採りに明け暮れていた。そこで杉元は、アイヌ民族から強奪された莫大な金塊の存在を知る。金塊を奪った男「のっぺら坊」は、捕まる直前に金塊をとある場所に隠し、そのありかを記した刺青を24人の囚人の身体に彫り、彼らを脱獄させた。囚人の刺青は24人全員で一つの暗号になるという。そんな折、野生のヒグマの襲撃を受けた杉元を、ひとりのアイヌの少女が救う。「アシㇼパ」という名の少女は、金塊を奪った男に父親を殺されていた。金塊を追う杉元と、父の仇を討ちたいアシㇼパは、行動を共にすることとなる。
監督:久保茂昭
原作:野田サトル「ゴールデンカムイ」(集英社ヤングジャンプ コミックス刊)
出演:山﨑賢人、山田杏奈、眞栄田郷敦、工藤阿須加、栁俊太郎、泉澤祐希、矢本悠馬、大谷亮平、勝矢、高畑充希、木場勝己、大方斐紗子、秋辺デボ、マキタスポーツ、玉木宏、舘ひろし
配給:東宝
©2024映画「ゴールデンカムイ」製作委員会
公開中
公式サイト kamuy-movie