第4回：僕は映画が好きだけど、それ以上に映画館で映画を見るのが大好きなんです。

そういう変遷を見てきたから、劇場運営に対しても入社当時からずいぶんと変わられたでしょう？

ええ。

劇場に居ながら、僕も先の仕事に向けていろいろ考えていたので、あるところから、国際映画祭に連れて行ってもらったんです。

以前、この「映画は愛よ！！」で出ていただいたチャイルド・フィルムの代表の工藤雅子さんは東京テアトルにいたんですけど、一緒に西澤さんとカンヌに行ったって。

独立して『劇場版 ムーミン谷の彗星 パペット・アニメーション』を上映するときも、西澤さんにすごくお世話になったと話されていました。

工藤さんは僕、ものすごく尊敬しています。

初めてカンヌ国際映画祭に行ったときに、一緒に連れて行ってもらったのが工藤さんだったんですよ。

いろんなところを教えてもらいました。

国際映画祭は毎年行ってるんですか？

映画祭は春のカンヌと秋のトロントに行って、もうひとつAFM（アメリカンフィルムマーケット）に行くと、日本で公開される洋画に関してはだいたい見られるので、毎年行っています。

買い付けじゃないけれど、行く？

立場としては、編成として行っています。

今年も5月にカンヌがあるんですけど、4月にノミネーションが発表されると、その段階でもうある程度、どういう作品が買い付けされるか予想はついてしまう。

なので、あとはマーケットで面白い作品が出てくるかをチェックしていって、来年の5、6月以降の作品をブッキングしていく形になります。

もう来年の春以降の作品のブッキングをしているんだ！　かなり先ですね、まだ、完成していない作品もあるでしょう？

たまにありますね。

で、映画祭でこれは劇場公開どうだとチェックして。

僕、映画を見ることが大好きなんで、映画祭では本当に朝から晩までずっと見ているんですよ。

で、おもしろい作品と出会って、そういうのが得意そうな配給さんと「面白いから、一緒に組んでやろうよ」と話をしても、「これはパッケージで出そうもないから、手を引くわ」という作品も出てきたりするんです。

で、結局、どこの会社も買わなくて、1年経つと、映画ってやっぱり鮮度があるから、値段が半額以下にガクッと落ちる。

で、ほっとくとこういう映画は劇場未公開のままレンタルになって終わっちゃうんです。

でもね、ここで僕は大きな声で言いたいんですけど、製作者は映画館でかけるために映画を作っているわけじゃないですか。

そうそう。

誰も最初から、ビデオスルーになると思って作っていない。