Apr 11, 2017 interview

第7回:『3月のライオン』は究極を目指した。心が弾む日本映画を見ると、この人と仕事をしたいという欲望が湧き上がってくる。

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池ノ辺

私も言うんですよ。

本当に映画が好きだったらお金払って劇場に行ったほうがいいよって。

宣伝をやるためにはやっぱり違う角度で売らなければいけないこともあるし。

谷島

そうそう、自由が利かない、最低なこともいっぱいあるじゃない。

でもそれは最初に原さんにも言われたんだよね。

カンヌ映画祭に連れて行ってもらった後で言いに行ったわけ、「映画プロデューサーになりたいです。映画会社に入りたいです。原さんの元で仕事させてくれませんか」と。

そうしたら「君は映画が好きかね?」。

はい。

「年に何本くらい見るの?」。多い時で300本ぐらいですと言ったら、原さんは「映画が好きだったら君、銀行員になりなさい」。

定時に終わるなら、1日2本見られる。土日はオールナイト含めると11本は見られると。

そっちの方が幸せだよと言われて……。

池ノ辺

でも映画をやりたいと言ったんでしょ?

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谷島

やりたいって言ったね。

お客さんが喜ぶものをクリエイターと一緒に作っていきたいという確固たる思いがその時にはもうあった。

だから映画をビジネスとして捉えられるようになりますからと、その時にはっきり言ったと思います。

池ノ辺

かっこいいね。

谷島

OB訪問っていうの? そういうので就活生に会うんだけど、今あなたが映画会社に入ってやりたいことがはっきりしていないのなら止めろと言いますね。

会社に入った1日目に自分が何をしたいのか明確にないんなら、絶対に途中で挫折するから、と。

「会社に入ってからやりたいことを見つけるんじゃないんですか?」とよく訊かれるんだけど、そうじゃない、そんな程度じゃ駄目なんだよね。

池ノ辺

これから谷島さんがやりたいことは何ですか?

谷島

自分がこれだと思った監督たちと組んで、その監督がそれまでやってこなかったことを一緒にやれたという自負はあるんですよ、この10年で。

だからもう極端に言うと、やりたいことが今ないんです

池ノ辺

あら、でも次の脚本読んでるんじゃないんですか?

谷島

(笑)。

テレビと映画って喧々諤々と戦ってきたじゃないですか。

だけど今、もう一つ配信というのが盛んになってきた。

僕の志向としては、その世界で一体何ができるのかということを考えています。

池ノ辺

何か具体的に決まっているんですか?

谷島

配信のためのテレビドラマを作っても面白くないので、そのドラマと映画か何かが連動していくとか、今までになかった新しいことをやりたいよね。

池ノ辺

今まで劇場用の予告編というのがうちのテーマだったんですけど、今はどんどん宣伝もWeb用の宣伝を作るということが占めてきたんですね。

だから90秒の予告編の中で見てみたいと思わせるところから、60秒、30秒の予告編で面白さを伝えてくれと変わってきてる。