Oct 21, 2016 interview

第1回:東京国際映画祭って、映画業界人だけのイベントじゃないんですよ。

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池ノ辺直子の「新・映画は愛よ!!」

Season11  vol.01 東京国際映画祭・事務局次長 井原敦哉 氏

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映画が大好きで、映画の仕事に関われてなんて幸せもんだと思っている予告編制作会社代表の池ノ辺直子が、同じく映画大好きな業界の人たちと語り合う「新・映画は愛よ!!」 今回からは、開催を間近に控えた東京国際映画祭・事務局次長の井原敦哉さんをお迎えして、今年の映画祭の見どころ、そして映画祭が担う役割と今後の展望など、映画祭にまつわるさまざまなお話を伺っていきます。

→前回までのコラムはこちら

池ノ辺直子 (以下 池ノ辺)

さて、今回のゲストは東京国際映画祭事務局次長の井原敦哉さんです。

今日は、東京国際映画祭の開催前の、とても忙しい時にお時間とって下さってありがとうございます。

井原敦哉 (以下、井原)

いえいえ、こちらこそよろしくお願いします。

池ノ辺

井原さんとは昔からの飲み友達で、この間も井原さんの映画会社時代の後輩の方もご一緒して大いに飲みましたね(笑)

井原さんって、もともとGAGA、アスミックエース、角川エンタテインメント、角川映画の映画会社で、宣伝から配給そして制作まで、さまざまな映画のお仕事をされてきました。

井原

ははは、今日はお手柔らかに。

池ノ辺

一番最初にお仕事したのは、どの作品でしたっけ?

井原

それを洗い出そうと思って、調べてみたんですよ、いままでの作品を。

そうしたら、ざっと勘定しただけでも、160本くらいありましたね。

池ノ辺

それは、すごい!!

たしか、一番最初はアスミックエースの予告編で、ベン・アフレック、グウィネス・パルトロウ主演の『偶然の恋人』 (2001)だったと思うんだけど……。

その頃は竹内さんが宣伝部長で打ち合わせは、いつも話が外れて面白かった。

今日何を食べたとか、あの作品の吹き替えは誰だとか、メモを見せてもらったりして。

『偶然の恋人』はメジャー映画のラブストーリーみたいに作ろうと、中村育二さんにナレーションを読んでもらって「愛しているから、言い出せない」のキャッチコピーもセリフのように言ってもらったのよ!! きゃー!(笑)

その前のGAGA時代は、ご一緒していないような……もう大昔のことなのでおぼえてないですけど。

その他は、『めぐりあう時間たち』『博士の愛した数式』の予告編などで、あとは何と言っても『トワイライト』シリーズですよね。

井原

そうですね、『トワイライト』シリーズは全5作、ご一緒させていただきましたね。

池ノ辺

映画祭絡みでいうと、私自身は、2003年から東京国際映画祭の予告編をずっと作らせていただいています。

井原さんは、2012年に角川映画からの出向で東京国際映画祭に配属になったので、それから一緒に予告編やオープニング映像など一緒に作っていますね。

「オープニング映像を作ってよ〜」って最初に言われた時は開催の4日前だった!!

井原

その節は有難うございました。池ノ辺さんに頼めば、ちゃんとやってくれると思ってますからね(笑)。

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池ノ辺

今日は映画祭の開催が間近に迫っているので、まず井原さんから、「東京国際映画祭って何?」という話から、ご説明してもらってもいいですか?

井原

東京国際映画祭は、国際映画製作者連盟が公認する日本で唯一の国際映画祭で、1985年にスタートしました。

そもそも映画祭は何のためにあるのか、どうして世界各国がこぞって主要都市に映画祭を立ち上げるのかを一言で言うと「大規模な映画祭を開催している」ことが、世界的に見て、その国や都市の文化水準を示すステイタスになるからです。

それと、シネフィルと呼ばれるようなコアな映画ファンから一般的な映画ファンまでを対象にして、国内で製作された新旧の映画を紹介したり、世界各国の優れた映画作品をいちはやく上映することで、自国の映画文化をより豊かなものへと育てていくんです。

さらに、海外から映画関係者やジャーナリストを招待して、作り手である映画監督や映画会社に製作のチャンスを生み出す場を提供することも大きな目的ですね。

若い才能を発掘し、彼らに活動の機会を与えることも、映画祭の重要な使命と考えています。

池ノ辺

井原さんが、映画祭のマーケティングに取り組み始めて、予告編の路線もいままでより一般層に届くものへと、趣向が変わってきましたよね。

招待作品をメインに構成していたのを、イベントのインフォメーションも多く入れたり、たくさんの劇場に上映してもらおうと、90秒の長さを60秒にしたり……。

内容をたくさん入れなくちゃならないのに、長さを短くしなくちゃいけないと困ったこと言うし……(笑)。

でも、まだまだ映画祭って、“業界人だけのイベント”だと思われている節があるわよね。

井原

そうなんですよ。

映画祭は、映画を愛する人たちのお祭りなので、一般の人にもどんどん来てほしいんです。

今年も六本木ヒルズのアリーナを野外シアターにして、80年代にヒットしたハリウッド映画を上映する無料上映会があって誰でも参加できますし。

池ノ辺

おー、面白そう!!「野外上映  Cinema Arena」ですね。

私が予告編を作った『フラッシュダンス』 (10/30)や『トップガン』(10/27)も上映するじゃないですか! これは行かなくっちゃ、ダメですね。

オープニングのレッドカーペットも、一般の人も観に行ってもいいのよね?

井原

もちろんです。

観賞は無料ですが、会場が混乱しないように整理券が発行されるので、その整理券を取ってもらう必要はありますが。

俳優の方たちを間近に見られる貴重な機会なので、ぜひ一般の人たちにも来てもらって、盛り上げてほしいですね。

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池ノ辺

今年のレッドカーペットは、どんな方が登場するのかしら。

井原

一番の目玉は、オープニング作品『マダム・フローレンス!夢見るふたり』に主演されている、メリル・ストリープさんですね。

クロージングでは、『聖の青春』の松山ケンイチさんと東出昌大さん、森義隆監督が登場される予定です。

池ノ辺

ここ数年、東京国際映画祭は若者層もターゲットにしていますよね。

井原

ミニシアターの閉館が続いていて、若者の映画離れも指摘されているので、どの業界もそうでしょうけれど、若者が映画を観る文化が途絶えてしまえば、映画業界にも未来はありませんから。

東京国際映画祭でも、若い映画ファンの育成は数年前から意識している課題です。

池ノ辺

現在井原さんが、映画祭で担当されているお仕事内容を具体的に教えて頂けますか?

井原

1年を通して、その年の新しい企画や実施、また日本のゲストのキャスティングや調整、省庁関係とのやり取り、スポンサーへのお伺いオープニングやクロージングの演出や整備、宣伝物や会場装飾のディレクション、予告編を作ったりと多岐に渡ります。

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池ノ辺

そういえば、一昨年の映画祭のオープニングはレッドカーペットに嵐が登場しましたが、あの一件も井原さんが動いてましたよね?

井原さんから、開催一週間前に電話があって、内緒で進めているから、海外用のマスメディア用に、「嵐のプロモーションを作ってくれ!」とか、サプライズで登場するから、その時の映像を作ってくれとか、そりゃ〜、あの時は大変だったけど、楽しかった。

サプライズで嵐が登場だものね。

事務所の方も、仕上がった映像を見て喜んでくれましたよね。

井原

池ノ辺さんに頼めば、ちゃんとやってくれると思ってますから(笑)

池ノ辺

今年のアンバサダーである黒木華さんの選出も、井原さんが事務所に挨拶に行くと言ってたわね。

井原

芸能関係は、ほぼ担当していますね。

今まで宣伝畑だったので、上手く熟せているのかもしれません。

池ノ辺

なるほど、そりゃ、大忙しですね。

では次回も引き続き、映画祭のお話を伺っていきたいと思います。

(文:otoCoto編集部、写真:岡本英理)


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第29回 東京国際映画祭

日本の映画産業、文化振興に大きく寄与してきた映画祭で、国際映画製作者連盟公認としては日本唯一の国際映画祭。今年は日本映画の特集上映では、アニメーション作品『バケモノの子』を監督した細田守の特集や、黒木華主演の最新作『リップヴァンウィンクルの花嫁』で日本映画として約12年ぶりに実写長編映画を手がけた岩井俊二監督の特集企画が決定。

2016年10月25日(火)~11月3日(木)まで。 会場:六本木ヒルズ、EXシアター六本木ほか。

http://2016.tiff-jp.net/ja/

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PROFILE

■ 井原 敦哉(いはら あつや) 公益財団法人 ユニジャパン 東京国際映画祭 事務局次長

1968年、長崎県生まれ。1993年に明治大学を卒業後、株式会社ギャガ・コミュニケーションズに入社。パブリシティ、宣伝プロデューサー業務に従事。99年にアスミック・エース エンタテインメント株式会社に移籍、宣伝部長を務める。2007年に株式会社角川エンタテインメントに転籍し、宣伝部長として、ハリウッドのドリームワークス作品を手がける。10年に角川映画の宣伝部長、11年角川書店と合併し、映画営業局局次長兼映画宣伝部長に。12年公益財団法人ユニジャパンに出向、東京国際映画祭事務局次長に就任、現在至る。

池ノ辺直子

映像ディレクター。株式会社バカ・ザ・バッカ代表取締役社長
これまでに手がけた予告篇は、「ボディーガード」「フォレスト・ガンプ」「バック・トゥ・ザ・フューチャー シリーズ」「マディソン郡の橋」「トップガン」「羊たちの沈黙」「博士と彼女のセオリー」「シェイプ・オブ・ウォーター」「ノマドランド」「ザ・メニュー」ほか1100本以上。
著書に「映画は予告篇が面白い」(光文社刊)がある。 WOWOWプラス審議委員、 予告編上映カフェ「 Café WASUGAZEN」も運営もしている。
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