Jul 02, 2019 interview

岡田惠和×峯田和伸、世代の違う2人が“意識低い系男子“への共鳴&音楽との出会いを語り合う

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教室の風景が止まって見えたんです

峯田 僕は、高校一年のとき、隣に座っていたよしだつとむくんという人が音楽――とくに洋楽にすごく詳しくて、「これいいよ」って何枚かCDを貸してくれたんです。5枚くらい借りたなかに、ニルヴァーナの『ネヴァーマインド』があって。授業中、先生にばれないように、教科書でCDウォークマンを隠しながら聞いたら、一曲目の『スメルズ・ライク・ティーン・スピリット』がはじまった瞬間に、いまでも忘れられないんですが、教室の風景が止まって見えたんです。

岡田 おお〜。

峯田 イヤフォンで聞いていたんですよ。ボリュームをあんまり大きくしちゃうとね、みんなに聞こえちゃうから。

岡田 うんうん。

峯田 授業している先生の声も聞こえるくらいの小さめなボリュームで聞いていたにも関わらず、あ、おれ違う世界に来ちゃったっていう感覚を味わったんですよ。周りを見渡すと、弁当食ってるやつもいれば、真面目にノートをとってるやつもいる中で。それまでも音楽は好きで聞いていたけど、あの曲はそれまで聞いていた曲とまるっきり別に聞こえて、ああ、おれ、もう今までの世界に戻れないって思った。

岡田 へえ〜。

峯田 まるっきり別物に見えて寂しくなった。取り残された気がして。

岡田 クラスのみんなともう普通に友達でいられないかもみたいな。

峯田 おれは気づいてしまった側の人間なんだなって。そう思ったことをはっきり覚えています。

岡田 僕にはそんな衝撃的な経験はないかもしれないなあ。僕の地元は三鷹で、三鷹楽器っていうレコード屋があって。そこの店員のお兄さんがすべての音楽経験をもたらしてくれて、最初のうちは、彼が勧めるものばかり聞いていました。半分、騙されていたのかもしれないけど(笑)。

峯田 ははは。

岡田 僕の年代は、ロックの歴史からいうと中途半端で、ちょっと前に、ビートルズとかものすごいものがあったと言われている時代だったんですよ。ピンク・フロイドも僕が知ったのは『狂気』後なんですよ。だから上の世代のほうがステキな音楽体験をしているというコンプレックスがある。なにかにつけ、「あ、それはね、前のほうがいいよ」って言われてしまうから。

峯田 ありますよね、そういうこと。つなぎ目のね。次のが来る前にはもう数年待たないといけないっていう谷間のとこにいるのってつらいですよね。

岡田 すごい悔しかったですよ。

——レコードの時代ですよね。

岡田 CDになるのは全然先ですが、僕はいまだにレコードのほうが好きですね。

峯田 僕もレコードのほうが好きです。CDも買いますけど、もしレコードも出ているならそっちを選びます。