Jul 02, 2019 interview

岡田惠和×峯田和伸、世代の違う2人が“意識低い系男子“への共鳴&音楽との出会いを語り合う

A A
SHARE

峯田和伸の楽曲から一本の物語を岡田惠和が紡いだ小説『いちごの唄』が映画化された。田舎から東京に出て来た青年コウタ(古舘佑太郎)が幼な馴染みの女の子・千日(石橋静河)と再会するラブストーリーで、峯田は2人をそっと見つめるラーメン屋の店主役で出演。そしてもちろん音楽面にも参加。主題曲『いちごの唄』をつくり、劇中も銀杏BOYZの楽曲が使用されている。小説出版のときotocotoで行った対談からほぼ1年、峯田と岡田の対談、再び――。

本編にかかる楽曲を減らしたわけ

——プロダクションノートに峯田さんの音楽をもっと入れる予定だったところがラッシュを観た峯田さんの提案で少なくしたと書いてありました。岡田さんは脚本に楽曲の指定はしましたか?

岡田 脚本では『ぽあだむ』以外の指定はしてなくて、監督(菅原伸太郎)の指定ですね。

峯田 僕の曲をたくさん使ってもらえることはもちろん嬉しいです。ただ、個人的な好みで、音楽が少ない映画が好きなんですよ。音楽がずっと流れているよりかは……。

岡田 ああ、わかる、わかる。

峯田 ポイント、ポイントで曲がかかるほうがいいなと思って。とくに歌詞がある曲だと、観ている人からしたら映像があって、セリフがあって、歌詞まで入ってきちゃうと情報が多くなってしまうかなあと思ったんです。

岡田 僕も基本、少ない派(笑)。僕は最初にいっぱい曲が当ててあるバージョンから観て、その後の打ち合わせにも参加しました。たくさん楽曲を使ってもプロモーションビデオみたいにはならないとは思ったけれど、ここぞ、というところで効果的に使ったことでより良くなった気がします。

——銀杏BOYZの曲を女の子(蒔田彩珠)がiPodで聞くところがよかったです。

岡田 『ぽあだむ』の使い方、よかったよね。

峯田 主役の古舘くんの資質もあると思うけれど、映画全編にファンタジーぽさが漂っていて、そこにiPodというリアルなガジェットが出てくることで、いいスパイスになっていた気がしますね。

世代の違う、2人の音楽体験

——映画の中で主人公や彼が出会った女の子の音楽体験が描かれることにちなんで、音楽体験を教えてください。

岡田 峯田くんとは世代が違うんでね……(笑)。僕は最初のロック体験は中学の時のグラムロック。ちょうど僕は『20世紀少年』の主人公と同い年なものですから、まさにあの感じです。

峯田 T.REXの『20th Century Boy』の世界ですね。

岡田 その曲を聞くと、小学校の時、金持ちの子は万博に行ったけれど、うちは連れてもらえなかったことを思い出します。

峯田 万博って結構みんな行ったものなんですか?

岡田 当時はまだ東京・大阪間の新幹線代は高額なものだったので、クラスのうち3分の1くらいかなあ、万博に行ったのは。

峯田 行った人はすごいですね。

岡田 音楽の話に戻ると、中学生の時デヴィッド・ボウイとかモット・ザ・フープルとか好きになって、それが僕の原点なので、見た目重視なところがあります。といって、ビジュアル系がいいってわけじゃないんだけれど……。

峯田 様式美としての。煌めくロックですね。

岡田 そう。キラキラしてなくてもいいんだけど(笑)、かっこいいものがロックだと思っているところがありますね(笑)。