Feb 13, 2017

インタビュー217

人間のダークサイドを描くことほど楽しいものはない!? 作家・貫井徳郎と石川監督が生み出した愚行エンターテインメント!

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誰からも愛される美男美女のエリート夫婦はなぜ殺されることになったのか? 迷宮入りした一家惨殺事件の真相をひとりの週刊誌記者が探ると、その先には日本社会の見えざる闇と衝撃の結末が待っていた!! 人間のダークサイドを描きながらも、読者を惹き付けて止まない「愚行録」が映画化された。“イヤミス”と呼ばれるジャンルが誕生する前に原作小説を書き上げた作家・貫井徳郎とポーランド国立映画大学出身の新鋭・石川慶監督が、人間の暗部を描くというエンターテインメントとしての新しい試みと、『愚行録』の原点となった読書体験について語り合った。

 

──映画化された『愚行録』、貫井さんはいかがでしたか?

貫井 妻夫木聡さんが演じた記者は、原作では物語の聞き手であって登場しないんですね。事前に妻夫木さんを主人公にすると聞いていたので、「これは原作とはまるで違ったものになるな」と思っていたんです。そのつもりで映画を観たんですが、原作に出てこないキャラクターを主人公にしながら、非常に原作に忠実に映画化していることに驚きました。

石川 脚本は『マイ・バック・ページ』(11年)などを書かれた向井康介さんにお願いしたんですが、やはり原作では描かれていない妻夫木さんが演じた記者をキャラクターにするのには苦労しましたね。

貫井 もうひとつ僕が驚いたのは、映画化された『愚行録』がすごくヨーロッパ的なテイストに仕上がっていたことです。僕が原作を執筆するときは、日本人しか出てこない、日本社会のすごく嫌なところを書いたつもりでした。でも、そんな世界がヨーロピアンな雰囲気とマッチしていたことが意外でしたし、すごく面白かったですね。

 

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石川 脚本家の向井さんも、「貫井さんに喜んでもらえたことが何よりもうれしい」と話していました。

貫井 完成した映画を観て、原作者が怒り出すなんてこともありますからね(笑)。

石川 向井さん、過去にそういった経験があったそうです。ですから『愚行録』の脚本を貫井さんにお渡しする際は、すごくドキドキしたようです。

貫井 古い話になりますが、池波正太郎さんは『必殺仕掛人』を観て怒ったということが伝説になっています。実際には怒っていたわけじゃないそうですけどね。でも、そんな噂が言い伝えられるくらい、作家と映像化作品との関係は微妙なものがあります。今回は石川監督、向井さんとベネチア国際映画祭にご一緒し、現地で美味しいワインを飲めて本当によかった(笑)。

 

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