Mar 18, 2022 interview

映画の美味しいところをミックスした『ガンパウダー・ミルクシェイク』 オタクを自負するナヴォット・パプシャド監督に聞く日本映画の影響

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舞台は、ネオンが煌き銃声轟くクライム・シティ。主人公のサマンサ=サムは、その街の暗殺組織に属する腕利きの殺し屋。彼女は、あるミッションで究極の選択を迫られ、組織を裏切り少女を連れて夜の街を駆け抜ける。追われる身となった彼女は、失踪していた母親、犯罪者御用達の武器庫「図書館」の女性司書たちとともに、悪の組織への反撃を開始する。

3月18日公開の『ガンパウダー・ミルクシェイク』は、硝煙渦巻く中に女性たちの共闘を描き、シスターフッドを盛大に讃えた「女たちの挽歌」。このエンターテイメント性抜群の作品を脚本 / 監督したのは、ナヴォット・パプシャド。『オオカミは嘘をつく』(2013)では、クエンティン・タランティーノ監督から「本年度最高傑作」と絶賛され、世界的な注目を集めた鬼才だ。本作では、古今東西のアクションを観まくってきた映画オタクのナヴォット監督は、巨匠たちが描いてきた名場面の数々を自在にアレンジしている。今回のインタビューで、その溢れ出してしまいそうなくらい有り余る映画愛を、お腹いっぱいになるほど、ありのままを語っていただいた。

インスピレーションをシェイクする

―― 本作『ガンパウダー・ミルクシェイク』では、武器倉庫である図書館や、ダイナーでの戦闘シーンなど、アメリカンクラシックのエッセンスが、ふんだんに散りばめられていると思います。いろんな映画の要素が入っている映画でしたが、自分らしさをどこで表現しようと思いましたか?

この作品は、ドイツで撮影して、フランスのスタジオと組んでアメリカ映画として作っています。演者もスコットランド、マレーシアなど、いろんなところから参加してくれていますね。僕はイスラエル育ちで、子供の頃から、ひとつの国にとらわれることなく、いろんな文化圏を見て育ってきました。この映画も同じなんです。世界各国のいろんな映画に影響を受けて、作中のロケーションも、それぞれにオマージュが含まれています。ダイナーは、ひとり映画の観客として、自分の中でザッツ・アメリカ!的な場所で、図書館はポルトガルにある図書館を参考にしているので、ヨーロッパ的なモノを意識しています。

―― 本当にさまざまな映画のエッセンスが盛り込まれていますよね。

映画タイトルに”ミルクシェイク”と入っているのですが、その意味としては、「いろんな時代のいろんな場所にいろんなインスピレーションがシェイクされている」からなんですね。もちろん前提として、敬愛する素晴らしきレガシーに対して、リスペクトがある作品になっていれば嬉しいです。そして、いろんなところから受けたインスピレーションを自分のフィルターを通すことでオリジナルになっていれば、と思っています。