レジェンド声優インタビュー 銀河万丈[銀河転生編]
arranged by レジェンド声優プロジェクト
アニメ黄金期の立役者である「レジェンド声優」と、自らもレジェンドである声優・古川登志夫さん、平野文さんによる濃密トークをお送りするレジェンド声優インタビュー。『機動戦士ガンダム』のギレン総帥、『北斗の拳』の聖帝サウザーなど、数多くの作品で魅力的な悪役・仇役を演じてきた名優・銀河万丈さんの“謎”に迫ります。
あの次回予告はどのようにして生まれたのか?
- 古川登志夫: (以下、古川)
-
これまでの2回では、いろいろなアニメの思い出を語っていただきましたけど、銀河万丈さんと言えば忘れてはいけないのがアニメの次回予告。特に『装甲騎兵ボトムズ』(1983年)の次回予告は有名ですよね。
- 銀河万丈: (以下、銀河)
-
あれは、台本の文章に乗せられるところがすごく大きかったですね。ボトムズの高橋良輔監督は、こういうところにグッときているんだなとか、こういう所にドキドキしているんだなとか、そういう自分が共感できるところに乗っかっていくように読ませて戴きました。そういうこちらが乗せてもらえる文章は読んでいて、とても楽しかったです。逆に、来週の内容をつらつらと述べるだけの次回予告は、どういった距離感で読み上げればいいのか分からなくて困る時もあります。
- 平野文: (以下、平野)
-
そういう乗せてくれる文章はどなたが上手だったの?
- 銀河:
-
高橋良輔監督なんかは言うまでもないんですが、『戦闘メカ ザブングル』(1982年)の富野由悠季監督の次回予告も個性的でしたね。台本を渡されて、楽しめそうなフレーズがあるとうれしくなっちゃったりしました。ちなみにザブングルでは、たまにファンの方から「なんで序盤は『ザ! ブングル』って読んでいたのに、途中から『ザブングル』って言うようになったのか」って突っ込まれるんですが、実のところ全然覚えてないんですよ、そんなふうに読んでたっけ?って(笑)、確かに読んでました。
- 平野:
-
次回予告とはちょっと違うんだけど、銀河さんはナレーションでも活躍されますよね。古川さんはもちろん、私もそれなりにやらせていただいていますけれど、その、ナレーションてね、アニメでキャラクターを演じるときの声の出し方とは、また種類の違った発声の仕方を、なんかこう、無意識のうちにやっているようなところってありませんか?その、キャラクターではなくて、自分の地声を基準にして、それよりも爪1枚分高めとか、あるいはかなり低めに出してみようとか。
- 銀河:
-
わかる気がします。あと、ナレーションって、確実に素っ裸なんですよね。アニメのようにキャラクターの絵があるわけではないので、聞いている人に、自分の全てを見透かされていると思います。自分が書いた台本ではないんだけど、それをどこまで理解して喋っているのか、品格から知性のレベルまでもが伝わってしまうというか。だから、怖いですよね。
- 平野:
-
まさに、このレジェンド声優インタビューで、何度も言っている「声は全てを看破する」ですね。
- 銀河:
-
それはあると思います。あ、今も看破されちゃってる訳ですか。
- 古川:
-
銀河さんのナレーションというと、やっぱり『開運!なんでも鑑定団』が有名だけど、あれは何かやるにあたって気をつけていることはある?