Apr 14, 2018 interview

古谷徹がアムロを演じ続けて40周年! 今だから話せる『機動戦士ガンダム』秘話

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レジェンド声優インタビュー 古谷徹[機動戦士ガンダム編]

arranged by レジェンド声優プロジェクト

アニメ黄金期の立役者である「レジェンド声優」と、自らもレジェンドである声優・古川登志夫さん、平野文さんによる濃密トークをお送りするレジェンド声優インタビュー。今回は、『巨人の星』『機動戦士ガンダム』『聖闘士星矢』など、数々の男の子向けアニメでカッコいいヒーローを演じてきた古谷徹さんが登場! 最高の主人公を演じる秘訣を教えてもらいました!

『機動戦士ガンダム』でニュータイプに覚醒?

平野文(以下、平野)

じゃあ、続いて『機動戦士ガンダム』(1979年)について聞かせてください。アムロって、それまで古谷さんがやってきた「カッコいいヒーロー」ではないですよね? そこに抵抗はなかったの?

古谷徹(以下、古谷)

『機動戦士ガンダム』をやるまでに、『巨人の星』(1968年)、『鋼鉄ジーグ』(1975年)、『グロイザーX』(1976年)、『氷河戦士ガイスラッガー』(1977年)など、たくさんのヒーロー役をやらせていただいたんですが、だいたい全て熱血系なんですよ。でも、僕自身はそんなに熱血系じゃないから、だんだん違和感がでてきはじめていたんです。そんな中、出会ったのが、当時としてはとても珍しい「戦いたくない主人公」であるアムロだったんです。

古川登志夫(以下、古川)

それまでのロボットアニメは勧善懲悪と決まってたんだけど、『機動戦士ガンダム』はそこから違っていたからね。

古谷

敵にも、いや敵にこそ正義があるっていう作品でした。だから、作品もキャラクターも僕にとってはすごく新鮮で……。このアムロって少年を巧く演じきることができたら、プロの声優としてやっていけるんじゃないかなって思ったんです。だから、アムロに関してはかなりこだわって役作りに取り組みましたよね。

古川

役者のキャリアを伸ばしていく中で、ちょうど良い時期に出会ったのかもしれないね。

平野

その役作りは具体的にどういうことをやったの?

古谷

第一話の最初のセリフが「ハロ、今日も元気だね」っていう一言なんだけど、その第一声で全てが決まるんじゃないかと思ったんです。だから、ここは肩の力を抜いて、独り言のようにぼそっと言おうと、それでマイクが拾ってくれなければそれでいいやと。

平野

いわゆる「アニメ」演技だと、そこはもっと声を張ってくださいって言われるところよね。

古谷

でも、ガンダムに関してはそれでOKが出たんです。また、その後のザクとの初戦闘シーンでは、逆にマイクが壊れてもいいやってくらい声を張り上げて「うわああああああああ!」って全力で叫んだりしてね。それが「リアル」なんじゃないのかって、試してみたんだよ。ミキシングエンジニアの人はとても大変だったと思うんだけど、それを許してくれたのがガンダムという作品だったね。

古川

ここで古谷徹が演技に開眼していくんだね。

平野

声優・古谷徹として、新しい演技を生み出したんだぞっていう自信を持った?

古谷

アムロに関してはそうですね。

平野

それに対して、ダメ出しはなかったの?

古谷

もちろん、尺が合わないところはやり直しになったりもしたけれど、感情表現に関しては、ほとんどダメ出しされたことはなかったように思う。忘れているだけかもしれないけど。

平野

当時の監督さんとのやり取りで印象に残っていることはある?