Jun 02, 2022 interview

『エリザベス 女王陛下の微笑み』の製作者が語る 戴冠70年となるエリザベス女王の“女優”としての資質

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英国民は親しみを込めて、英国王室を「ザ・ファーム」と呼ぶ

ーー エリザベス女王は公務や外交に励む一方、4人の子ども(チャールズ皇太子、アン王女、アンドルー王子、エドワード王子)の母親としては苦悩が多かったのではないでしょうか。仕事と家庭を両立させることの難しさは、多くの日本人も共感する部分だと思います。

今や、孫のウィリアム王子やヘンリー王子も結婚し、ひ孫が生まれ、エリザベス女王は大家族の家長でもあるわけです。母親でありながら、あれだけの公務をこなすのは大変なことでしょう。ひとりの人間として見れば、やはり素晴らしい女性だと思います。ただし、家族は肉親であるのと同時に、公人でもあるわけです。家族に対し、母親として接するのか、それとも女王として対応するのか、とても難しい問題でしょう。

英国民は英国王室のことを「ザ・ファーム(The Firm)」と親しみを込めて呼ぶんです。ファームには「会社、事務所」などの意味がありますが、つまり英国王室は家族であるのと同時に、ビジネス的につながっている関係でもあるわけです。女王として、また母親として、家族に対してどう接するのかは、エリザベス2世をひとりの女性として見た場合、大きな葛藤となる部分かもしれませんね。

『エリザベス 女王陛下の微笑み』の製作者が語る 戴冠70年となるエリザベス女王の“女優”としての資質

ーー イギリス国民にとって、エリザベス女王はどんな存在なのでしょうか?

今なお多くの公務にあたるエリザベス女王のことを、英国民はリスペクトしています。その想いがどれだけのものかは、6月2日から始まるプラチナジュビリーの盛り上がりを見ていただければ分かると思います。エリザベス女王に関する膨大なアーカイブ資料を整理し、一本のドキュメンタリー映画にまとめるのは大変な作業でしたが、ミッシェル監督のおかげで、多くの人が楽しめるエンターテイメント作品に仕上がったと感じています。日本の皇室を題材にした、このようなタイプのドキュメンタリー作品はありますか?

ーー ここまでポップな皇室ドキュメンタリーは、日本では難しいでしょうね。

僕には日本の皇室のことは分かりませんが、皇室の中にまでカメラを入れるのは簡単ではないでしょうね。今回は英国王室の中にまでカメラが入った未公開映像が見つかり、それを使用できたことも大きかったように思います。英国王室内で暮らすエリザベス女王を、とてもリアルに感じることができるはずです。日本のみなさんにも楽しんでいただければ幸いです。

取材・文 / 長野辰次

プロフィール
『エリザベス 女王陛下の微笑み』の製作者が語る 戴冠70年となるエリザベス女王の“女優”としての資質
ケヴィン・ローダー(Kevin Loader)

映画・TVプロデューサー

ロジャー・ミッシェル監督とのタッグで、ダニエル・クレイグ主演作『Jの悲劇』(2005年)、ビル・マーレイ主演作『私が愛した大統領』(2012年)などを製作。その他の主なプロデュース映画に、ジョン・レノンの若き日を描いた『ノーウェアボーイ ひとりぼっちのあいつ』(2009年)、マギー・スミス主演作『ミス・シェパードをお手本に』(2015年)、スティーヴ・ブシェミがフルシチョフに扮した『スターリンの葬送狂騒曲』(2017年)などがある。

写真右がケヴィン・ローダー氏。左はロジャー・ミッシェル監督。

作品情報
『エリザベス 女王陛下の微笑み』の製作者が語る 戴冠70年となるエリザベス女王の“女優”としての資質

ドキュメンタリー映画『エリザベス 女王陛下の微笑み』

世界でもっとも有名な女性である、英国君主エリザベス2世初の長編ドキュメンタリー。2022年に、生誕95年そして在位70周年となる英国君主エリザベス2世。その類まれなる人生と旅路を、女王への深い愛と畏敬の念をもって、詩的に時にポップに描いた。

監督:ロジャー・ミッシェル

出演:エリザベス2世、フィリップ王配、チャールズ皇太子、ウィリアム王子、ジョージ王子、ダイアナ元妃、ザ・ビートルズ、ダニエル・クレイグ、マリリン・モンロー、ウィンストン・チャーチル ほか

配給:STAR CHANNEL MOVIES

© Elizabeth Productions Limited 2021

2022年6月17日(金) TOHOシネマズ シャンテ、Bunkamuraル・シネマほか全国公開

公式サイト elizabethmovie70.com

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