―― 橋本さんご自身が俳優を続けるうえで、大切にしていることはありますか。
何でしょう‥‥、まず開くことを今は一番大切にしています。演じている時もそうですが、普段からずっと開いていたいと思っています。その方が内面から輝けるということを最近わかって来ました。外見だけでなく、ちゃんと内側から発光しているような人間になりたいと思っています。それを意識しています。
あともうひとつ、具体的にずっと何をしていても踊っているような人でいたいです。「立っているだけでも、座っているだけでも、何処かずっと踊っているようだよね、あの人は」というふうに言われるような人になりたいです。実際には言われなくていいのですが、私自身が“ずっと踊っている”と実感を持ったまま“生きたい”という願望があるんです(笑)。
今年、舞台があるのですが、その舞台が身体や声を駆使する舞台なので、その願望に1歩近づけるようなトレーニングをしていて、今、積み重ねられているので、今よりもっとパワーアップして理想に近づけていけたらと思っています。
―― 何故“踊っていたい”と思われたのですか。
私は踊っている人を見るのが好きなんです。それに田中泯さんなど、ダンサーであり俳優もやっている方の表現に憧れがあるんです。観ていると自分も踊っているような気持ちになれるんです。ただ座っているだけでも“私はこの人と今、同じ動きをしている”と感覚をコピーするのが凄く好きなんです。人が触っているものでも、見ているだけで触った感じが、どんな感触なのかを想像出来たりします。
例えば、今触れているザラザラした壁を、触っていないのに触っている感覚を呼び起こしたりするのが楽しくて好きなんです(笑)。その延長線上に踊りがあるような気がしています。田中泯さんが子どもの頃に、「今、動いている!」と感じた瞬間があったとおっしゃっていました。それを聞いた時、私は当たり前すぎて「動いていると思えたことがない」と思って、でも最近「あ、動いている!」と思える瞬間がやっとちょっとずつですが出てきました。それがずっと続いたら凄く楽しいと思うんです(笑)。
デビュー当時から何度も会っている橋本愛さんは会えば会うほど進化している。それもどんどん意志が言葉として表れ、内面も美しさを増す女性になっているとここ数年思って再会したらそれ以上の輝きを口からも放っていました。映画『熱のあとに』は、まだ製作会社も決まっていないうちから脚本に惹かれ、出演を承諾した作品だそう。実際の事件をモチーフにしつつ構築された「愛とは何か」を紡ぐ人間ドラマは、人は互いに影響し合い、進化していくことを内面を覗き込みながら探求する作品。俳優たちの熱量がぶつかり合う火傷しそうな傑作です。
スタイリスト:清水奈緒美
ヘアメイク:ナライユミ
愛したホスト・隼人を刺し殺そうとした沙苗は、数年の服役後、お見合いで出会った健太と結婚する。平穏な結婚生活が始まったと思っていた矢先、謎めいた隣人の女・足立が現れる。気さくに接してくる足立は一体何者なのか。そして、全てを捧げた隼人の影に翻弄される沙苗。普通の生活へ引き戻してくれる健太の温もりを受け取りながらも、隼人への想いを抱き続ける沙苗がたどり着いた、“愛し方”の結末とは。
監督:山本英
出演:橋本愛、仲野太賀、木竜麻生、坂井真紀、木野花、鳴海唯、水上恒司
配給:ビターズ・エンド
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2024年2月2日(金) 新宿武蔵野館、渋谷シネクイントほか全国ロードショー
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