Jan 26, 2024 interview

橋本愛インタビュー 出演の決め手は監督からの手紙だった『熱のあとに』

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―― この映画を観た時に「【沙苗】はとても勇気がある」と思ったんです。だけど周りには、仲野太賀さんが演じている【健太】のようなタイプの人が多いような気がします。この【沙苗】と【健太】のコントラストが化学反応を起こしていくのだと思いました。橋本さんと仲野太賀さんは以前からご友人ですが、今回の共演で何かお話をされましたか。

確かに【健太】のようなタイプは多いですよね。太賀さんとは、現場でずっとふざけていました(笑)。役についての話を真剣にしたということはないです。お芝居をしていたら太賀さんが何を考えているのか、何を伝えたいのかが全部わかるんです。太賀さんの思いは、お芝居を通して伝わるので、それで十分でした。

こういう作品なので、私本体が壊れてしまってはいけないと思っていました。だからカメラが回っていない時は、ちゃんと笑って、楽しく過ごして、辛いのは本番だけ、と心がけていました。そんな風に健康を維持することを意識していました。太賀さんも(木竜)麻生ちゃんも、もしかしたら同じような意識を持っていたのかもしれません。ずっと開放的で笑いの絶えない現場でした。それが私にはとてもありがたくて、救われました(笑)。

もちろんお芝居に取り組む時には、皆もの凄い集中力でしたし、そういう現場だったのでとても居心地がよかったです。

―― それぞれのキャラクターの内面や背景が見えてくる脚本が素晴らしかったです。脚本を書かれたイ・ナウォンさんご自身の生きて来た道のりが影響されているのではないかと思います。イ・ナウォンさんとのお仕事で得たものはありますか。

イ・ナウォンさん、大好きなんです。ナウォンさんは、話したり、交流していても奥底が見えない人です。別にナウォンさんが隠しているわけではないんですが、“この人は本当に簡単にわかって欲しくないものがちゃんとある人なんだ”と想像ですけど、そう思っていました。だからこそ今回のような脚本が書けるし、こういう言葉を紡げる。私はナウォンさんの力をお借りして【沙苗】を演じさせてもらいました。本当にナウォンさんに出会えて良かったです。そしてナウォンさんの書く本、紡ぐ言葉をこれからも凄く楽しみにしています。