Mar 01, 2022 interview

のんインタビュー 妥協のない“こだわり”と人との繋がりによってアイディアが実現できた『Ribbon』

A A
SHARE

―― 作品を観て「のん監督の脳内を覗くような画であり、のん監督にしか撮れない画だ」と凄く思いました。衣装や何となく雑多な感じだけど個性的なこだわりがある部屋だったり、ちょっとした間合いやクスクスっとする笑いなど、意識して作られたのかと。

ホントですか、嬉しいです。凄くこだわっていました。資料も集めて「こういう部屋がいい。こんな感じの衣装がいい」とお伝えしたり、いつもお世話になっている衣装さんに来て頂いて、密にコミュニケーションをとっていました。

―― 渡辺大知さんと小野花梨さんとの公園での会話、あの間合いもホッコリしました。

面白いですよね(笑)。あのシーンは小野さんが面白くて、凄い瞬発力でテンポを作って下さったのでナイスキャラでしたね。撮影前に本読みを設けたんですけど、その時に作品のトーンや「妹はこんな感じです」と小野さんにお伝えした時も瞬時に表現して下さって、2人のテンポ感が凄く上手くいっていたと思っています。渡辺さんの役は全然違うリズムで存在しているので、その感じも面白かったです(笑)。

 “この役を演じて面白くしてもらえる”と思った方に今回は演じて頂けたと思っています。凄いキャストの皆さんに集まってもらえました。春木みさよさんと菅原大吉さんと山下リオさんは、脚本を描いている時点から「この人に演じて欲しい」と思いながら当て書きしていましたね。

―― そうなのですね。のん監督作品の『おちをつけなんせ』(公開:2019年)では春木みさよさんと菅原大吉さんはご夫婦役を演じていらっしゃいますね。

はい、お二人には“絶対に出演して欲しい”と思っていたんです。「どんな役で登場してもらおうか」と考えていたのですが、描いているうちに自然と【お父さん】と【お母さん】になっていきました。

―― 映画に登場する家族を観て、のんさんの実生活が散りばめられているのでは?と思っていました。

【お父さん】は全然違うキャラです。でも【お母さん】とかはそうかも。ちょっと天然で無神経なところとか(笑)。他人の親だったら面白いけど、自分の親だとキツイみたいな感じはあります。脚本を描いている時は「【いつか】可哀そう」と思って描いていたんです。でも春木さんがとてもリアルに演じて下さったので撮影している時は「【お母さん】の気持ちがよくわかる」と思いながら撮っていました。とても切ない演技をして下さったので、どっちも上手くいかない感じがよく出ていて素敵でした。

―― 本当にそうでした。お母さんと娘の関係がとてもリアルでなんだか少し切なく。

嬉しい、ありがとうございます(笑)。『おちをつけなんせ』の時はガミガミお母さんを演じて頂いたんですけど「今回はちょっと天然な可愛いお母さんを春木さんに演じてもらいたい」と思っていたんです。そしたら春木さんはご自身の娘さんを相手に稽古をつけてから撮影に挑んで下さったんです。「どう?どう?」と聞きながら娘さんに演技を見てもらっていたらしく、娘さんに「ウザイ」と言われたので「ヨシ(OK)」と思われて来られたそうです(笑)。