――今回は刑事役ですが、所作などはあらかじめ予習しておくんですよね。
そうですね。所作とかはもちろん、技術がある役のお仕事だった場合は必ずやります。例えば美容師さんを演じる時は手の動きだったりという感じで。そういう動きをなるべくスムーズに生活の中のひとつの動きとして落とし込めるくらいナチュラルに出来るように、時間がある限り練習したいと思っています。ただ気持ちの部分で動く部分は、なるべく決めないようにしています。

――凄いです。今回、バラエティに富んだキャストの方と共演をされています。特に印象に残っている共演者の方はいますか。
皆さん凄く印象に残っているんですけど…、〈おうち〉の皆さんとはおひとり、おひとりと対峙するシーンはそんなになくって、初めて〈おうち〉に行くというシーンを撮った時には、そこがとても大きく見えたんです。あの皆さんが居ることで大きな館に迷い込んでしまったような、“凄い所に来た!”という緊張感が漂う空気の中でお芝居が出来た気がして刺激的でした。それにカットがかかった瞬間に、その場が皆さんの温かさから柔らかい空気に一瞬で変わるんです。おひとり、おひとりが持つパワーがとてつもないのでその力にあんなに一気に触れられる機会って、役者をしていてもそんなにないので、本当に幸せな撮影日だったと思います。



――その〈おうち〉のトップが、風吹ジュンさん演じる【昭江】ですね。
そうなんです。昔はシェルターではなく、日本には駆け込み寺みたいな所があったと聞いたことがあります。駆け込み寺はお寺なので、大仏様が置いてあったそうです。その話を聞いてから、『シャドウワーク』の現場に入って〈おうち〉を見ていると、風吹さんはある意味メタファーとしては、この〈おうち〉を守っている大きな大仏様のような存在だなと感じていたんです。だからこそとんでもない安心感があるし、自分が本当に思っていることも“【昭江】さんの前では嘘をつくことが出来ない”という気持ちになる。そういう恐れというものも含めて、守られている空間だと改めて思いました。
その理由のひとつに、私自身が朝の連続テレビ小説『半分、青い。』(2018)という作品から風吹さんにはプライベートでも良くして頂いて、お世話になっていることもあります。風吹さんは背中にそっと温かい手を置いて下さるような温かさをいつも下さるんです。今までご縁が続いているのも含めて、何だか風吹さんの力強くて温かい存在が、この『シャドウワーク』の〈おうち〉の中でも役にとても滲んでいらっしゃって、〈おうち〉という空間が出来ていたように感じました。
――奈緒さんご自身も俳優さんとの繋がりをとても大切にされていますが、この映画のように相談出来るような同業者の女性はいらっしゃいますか。
居ます。ありがたいことに沢山居ます。今回の〈おうち〉の時も結構待ち時間に皆さんと相談し合ったり、プライベートのことも含めて本当に色々なお話をさせて頂きました。私にとって今回ご一緒した皆さんも今後何かあった時にはお話をして、悩んだらまた相談したい、お話を聞きたいと思う先輩と仲間が増えたという感覚が凄くあります。
それに風吹さんには、新しい映画に入る時も相談をすることがあるくらい、風吹さんに会いたくなるんです(笑)。以前、たまたまそのタイミングでお会いできる場があって、その会で“今日、風吹さんに相談したいな”と思っていたら、まるで答えのような言葉を急に風吹さんが話されたんです。
その時は、新しい映画のクランクイン2日前だったんですけれども、その場で私はちょっと涙してしまいました。「どうしたの?奈緒ちゃん」と風吹さんが私の話を聞いて下さって、「私、明後日から頑張れそうです」と言って、次の作品に向かうことが出来ました。
