異性の目がない世界は閉鎖的で露悪的、女子校での実体験が役に立ちました
──人の心の光と闇を描くことが、結果的にミステリーになったと。あの衝撃的な結末は、最初から頭にあったのですか?
最初から頭にあったのですか? いえ、全然思い付かなくて。文学サロンで美少女が闇鍋を食べるところまでは決まっても、そこからどうしようかなと思って、自分で脳内ミーティングをしていたらこの結末が出てきました。「こんなのどうかな?」「それ、いいかも。面白いかも!」って。
──秋吉さんは、作品を考える時に“脳内ミーティング”を行われるのですか?
自分の頭の中にいる何人かで、「闇鍋を生かせないかな?」「生かすと言っても、どうやって?」「こうすればいいんじゃない?」「それいいね!」みたいなやりとりを延々とやっているんですけれど……知らない人にしてみたら、ちょっと気持ち悪いですよね(笑)。
──いえいえ(笑)。テーマが女子会なので、例えば知人女性や女子高生にリサーチをしたりは?
それは特に行っていませんが、私がカトリックの女子中学出身なので、その体験をそのまま参考にしました。
──となると、描写は実体験の部分も?
イジメがあるわけじゃないんですけれど、女子同士の駆け引きがあって、いつもピリピリしているなというのは当時ずっと思っていたので、その体験は『暗黒女子』を書くに当たってとても役に立ちました。先生もほとんど女性で、カトリックなのでシスターたちもいて、女性だらけの世界。異性の目がない世界というのはやはり独特で、閉鎖的ではあるんですけれど、割とお互いに秘密をさらけ出し合うから露悪的な部分もあるんです。だから、その経験をしていなかったら『暗黒女子』は書いていなかったかもしれません。
──華やかな女子学生が裏でさらけ出す“暗黒”にスポットを当てたのが本作なのですね。
光があれば必ず陰があって、闇がある。私はその闇のほうを見たくなるんですよね。だから、そちらに焦点を当ててみたらいい作品ができるんじゃないかという気はしていました。
──秋吉さんの中にも“暗黒”な部分が……?
やっぱりありますね(笑)。今は丸くなりましたけれど、女子校時代は駆け引きもありました。うっかりしたことは言えないけれど、言いたいからお手紙を書いて、でもあの子には内緒ね、みたいな(笑)。
──秋吉さんは実体験からヒントを得て着想することが多いですか?
自分の不妊治療体験から『聖母』を書いたり、実体験を基にすることはあります。すべての作品がそうではないですけれど、書いていると必ずどこかには出てきますね。