May 15, 2018 column

向井理主演の新感覚時代劇『そろばん侍 風の市兵衛』

A A
SHARE

向井理主演の新感覚時代劇『そろばん侍 風の市兵衛』(5月19日(土)スタート、毎週土曜午後6時5分〜43分)の第一話試写と会見が5月14日(月)に行われた。

原作は時代小説作家・辻堂魁の『風の市兵衛』シリーズ。主人公・唐木市兵衛(向井)は今でいう「公認会計士」である「渡り用人」で、派遣社員のようにそのつど武家や商家の家計を預かり、得意のそろばんと剣術を駆使して、各家の経済事情や、それにまつわる事件を解決していく。

見どころはソロバンと殺陣。向井は「いまのものとは形も計算方法も違うソロバンに慣れるのに苦労した」と言う。その甲斐あって吹き替えなしでやっているそうだ。また「タイトルのごとく、剣術が“風のように”“風に乗って”と指定されているので、“風”の表現を毎回考えています」とも。
ほかに「時代劇は、今のように電話もケータイも車もなく、不便だけれど、そうすると、立ち回りやアイコンタクトなど、人と人という究極なアナログなやりとり、要するに人間性で勝負するしかしなくて、その原点に帰ったような表現が魅力」と時代劇の魅力を語った。

 

 

舞台『髑髏城の七人 season風』(17年)で激しい立ち回りを経験した向井が、今度はどんなアクションを見せてくれるか期待したい。風貌的には、知的でクールな役のイメージにぴったり。制作統括の陸田元一プロデューサーは「原作を読んだとき、向井さんしかいないと思った」そうだ。

放送エピソードは全部で3作。ひとつのエピソードを3回に分けて描く。三部作、それぞれ違う脚本家によるものでその違いも楽しめそう。
第一部『春の風』は、2020年の大河ドラマ『麒麟がくる』の脚本家・池端俊策によるもの。
第二部『雷神』は小松與志子、第三部『帰り船』は森岡利行。

各エピソードごとに印象的な女性が出てくることもみどころのひとつと陸田Pがアピールした。
第一部のマドンナ的存在は村川絵梨。夫が不名誉な死を遂げ、その謎を市兵衛が解くことになる。
「(向井との場面で)ちょっとキュンとする場面がある」と村川。鈴木福が息子役となり「実年齢は14歳差なので、現場では友達みたいにしゃべっていたが、芝居では母子役がうまくできたと思う」と語った。

会見にはほかに、北町奉行の同心・鬼渋こと渋井鬼三次役の原田泰造が出席。
「父が原作を読んでいて、出演すると聞いて、いままでで一番褒めてくれた。親孝行できた作品」と笑わせた。
また、「向井さんは体幹が強いので、どうしたらそうなれるか聞いたところ、日本舞踊がいいと言われて、これが終わったらはじめようと思う」とか「天候が味方してくれて、向井さんのシーンでは風がいいあんばいに吹く」などと現場のおもしろいエピソードも明かした。

 

 

ほかに、橋本マナミ、渡辺いっけい、筒井道隆などの芸達者が参加する。
最近のNHKの土曜時代ドラマは『みをつくし料理帖』『アシガール』とユニークな時代劇ドラマを制作しているので、『ソロバン侍 風の市兵衛』も期待できそうだ。

 

文・木俣冬

 

番組情報

 

『そろばん侍 風の市兵衛』
5月19日(土)スタート、毎週土曜午後6時5分〜43分(全9回予定)

http://www.nhk.or.jp/jidaigeki/soroban/

 

文・木俣冬

 

文筆家。主な著書に「ケイゾク、SPEC、カイドク」(ヴィレッジブックス)、「SPEC全記録集」(KADOKAWA)、「挑戦者たち トップアクターズ・ルポルタージュ」(キネマ旬報社) 、共著「おら、あまちゃんが大好きだ! 1、2」(扶桑社)、「蜷川幸雄の稽古場から」、構成した書籍に「庵野秀明のフタリシバイ」、ノベライズ「マルモのおきて」「リッチマン、プアウーマン」「デート〜恋とはどんなものかしら〜」「恋仲」「IQ246~華麗なる事件簿」など。
エキレビ!で毎日朝ドラレビュー連載。 ほか、ヤフーニュース個人https://news.yahoo.co.jp/byline/kimatafuyu/ でも執筆。
初めて手がけた新書『みんなの朝ドラ』(講談社現代新書)が発売中!
http://bookclub.kodansha.co.jp/product?isbn=9784062884273

otoCotoでの執筆記事の一覧はこちら:https://otocoto.jp/ichiran/fuyu-kimata/