Jun 05, 2020 column

衝撃の海外アニメが続いた昨年 今年は新たな未来地図が見え始めるか

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今年も『アヌシー国際アニメーション映画祭』の時期となった。毎年6月にフランスのアヌシーで開催され、様々な長編作品のみならず短編作品やTVシリーズ、商業作品からアート作品まで幅広く取り上げられる世界最大規模のアニメーション映画祭だ。残念ながら今年は世界を襲っている新型コロナウイルス感染症の感染拡大を受け、会場での上映ではなく、6月15日から30日にかけてオンラインでの開催になることが発表されている。

アヌシー国際アニメーション映画祭2020
公式サイト:https://www.annecy.org/home

同映画祭の各部門のノミネート作品を見れば世界の様々な国で、そして様々な手法でアニメーションが制作されていることがわかる。中には「この国でもアニメーションは作られているのか」と驚くこともある。ただ、これまでそういった非メジャーの作品を日本にいる僕らが目にする機会はかなり限られたものだった。

それがこの数年で少し変化してきた。これまであまり目が向けられず大手配給・シネコンでの上映からはこぼれがちであった北米“以外”のアニメーション作品だが、単館やアート系シアター、さらには映画館以外での上映機会が増えてきている。プラットフォームが増えたこともあり劇場未公開であっても配信で見ることが出来る作品も増えてきた。とりわけ昨19年はそういった中から大きな注目を集める作品が立て続いたことがアニメーションファンの間でちょっとしたトピックとなっていたのだ。

中国の長編アニメーション映画『羅小黒戦記(ロシャオヘイセンキ)』もそういった注目をされた1本だった。公開から半年以上を経たが、今年のアヌシーで長編コントルシャン部門に選出されたこともあって最近再び記事をいくつか目にするようになっている。

長編コントルシャン部門は2019年の開催より新設された「個性のある長編作品」「観客に投げかけるもののある挑戦的な作品」が対象となるそうだ。この部門では日本からも1月から公開が続いている岩井澤健治監督の『音楽』もノミネートされている。

『羅小黒戦記』は昨年9月の公開開始以来、日本各地のミニシアターなどで小規模ながら上映が続いており異例のロングランとなっていることも話題だ。コロナ禍での各映画館の休業によってそれが途切れてしまっているが、日本配給のアナウンスによれば今後も各地での上映が予定されている。