Apr 18, 2020 column

不安でおぼれそうな今の向こう、そこにある新しい時代がくる前に

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1日ごとに状況が変化し続けているため、この記事が公開される時には状況が変わっているのかもしれないことはあらかじめおことわりしておきます。

今年の劇場アニメ映画の中で、いや、今年の邦画興行すべての作品の中でも最大の注目作であり6月27日の公開が待たれていた『シン・エヴァンゲリオン劇場版』の公開延期が発表された。

延期の理由は書くまでもなく新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の拡大によるものだ。多くの人が楽しみにしていたが、まさかその公開直前に世界中がこんなことになるとは思っていなかった。前作『Q』からは7年以上。『エヴァ』の延期には慣れていたが、さすがにこの延期理由は仕方がないし当然の判断だろう。まず優先されなければならないのは制作スタッフらの安全であり、そして観客の安全だ。観客の1人としてはむしろ余計な不安感の中で見ずにすんだと思っている。ある程度の収束が見えたところで目にすることを楽しみに待ちたい。こうなるとこちら側の目標も「公開まで無事でいる」ことへの専念になる。

僕のコラムのメインの話題はアニメなどのサブカルチャーだが、制作において海外スタジオも大きく関わるTVアニメは放送番組全体の中でもかなり早い段階で新型コロナ騒動の影響が出てしまった。人気シリーズ第3期である『とある科学の超電磁砲T』は2月末放送分が延期となり、その後は他の作品も同様の事情で放送延期が増加。4月からの春期放送作品にはあらかじめ放送開始を7月期以後の延期へと決断した作品も多い。SNSで声優さんが発信している話を読むと感染リスクの安全への懸念からアフレコが止まっている作品もあるそうだ。放送を開始した作品も数話目で「以降の放送は延期」と発表をし始めた作品もある。3月からは楽しみにしていた劇場アニメもことごとく公開延期となり、ついには『シン・エヴァンゲリオン劇場版』の延期発表になった。

アニメ以外のTV番組においてもこの事態は深刻で、ドラマやバラエティといったジャンルを問わず3月に入ってからは収録そのものが中止となった企画や番組も多く、僕の周囲でも頭を抱えている番組制作者は多い。ドラマは放送開始延期作品も多いが、放送中のものについても今後は休止などが起こっていくと思われる。

再度書くがまず優先されなければならないのは制作スタッフらの安全であるのだから、いずれも当然の判断だ。

新作アニメやドラマが減り、音楽ではライブが無くなり、映画も春期公開作品がのきなみ延期となり劇場自体もほとんどが休業となった。演劇も公演が無くなり、さらには美術館や博物館も閉じてしまった。五輪の関係で今年は5月開催となっていたコミケをはじめ、多くの春イベントも中止となった。緊急事態宣言による大規模な商業の縮小や休業で書店も多くのところが閉まり、そもそもの出版現場でも感染者による影響が出てきた。エンターテインメントにおいて体験の共有が重要視されるようになってから数年たつが、その共有の場が消えてしまった。

今、擬似的にではあるが「文化が街から消えた世界」を体験している。