Feb 28, 2017 column

今話題のアニメ『けものフレンズ』のライブ感は「たーのしー!」のだ

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2月も終わりにさしかかると、深夜のTVアニメではおなじみの温泉回や水着回が流れるようになってきた。温泉回や水着回で時期を感じるのはどうかとは思うが、今期のアニメももう中盤ということだ。 週に40本近くの新作が放送されている中、中盤まで見続ける作品というのは、たぶん「自分はハマっている」になると思う。新シーズンの始まりではあらかじめ見る作品は絞り、とりあえず1~3週目くらいまででどれを見続けるのかを決める人も多い。これはアニメファンだけでなくドラマファンもだろう。

アニメの場合、あらかじめ見る作品の目星はネットの前評判や雑誌記事などを参考に、マンガやライトノベルやゲームなど、知名度がある原作の物であればとりあえず気になるし、スタッフの名前で興味を惹かれる作品もある。いわゆる“萌え系”であれば発表されているビジュアルも興味を大きく左右する。つまり、大概の場合はあらかじめなんかかしらのマークがされている。なにしろ週に40本以上だ。そうでもしないと絞れない。

そういう中で、誰もが全くのノーマークだった作品が騒動となっている。 『けものフレンズ』だ。

最近やけに目にするタイトル。ネットではキャラクターが発する「たーのしー!」「わーい!」「すごーい!」という反応がリフレインされ、twitterやSNSに流れまくっている。

一体なんなんだ?と思った人も多いだろう。

ざっくり説明すれば、ジャパリパークという世界中のあらゆる動物がいる巨大動物園が舞台で、そこでは動物はみな美少女型の擬人化されたものとなっている。この擬人化された彼女らは「フレンズ」と呼ばれる。 ここで目が覚めた主人公は記憶を失っていた。自分が何者であるのか、なぜここにいるのかもわからない。最初に出会い仲良くなったサーバルキャットがフレンズ化したサーバルによって、大きなカバンを背負っているから「カバン」と名付けられた主人公。自分が何者なのをかを知るべくパークにある図書館を目指し、その道中で出会う様々なフレンズとのユルユルとした交流や冒険が描かれる。 …というのが、シリーズ前半の物語だ。

自分で書いていて、「こう書くとまともな作品に思えるなあ」とちょっと思ってしまったが、これはあくまでざっくりとした展開の軸だ。 僕の場合もノーマークだった。とりあえず録画した新番組の中に入っていたので見たのだが、正直、第1話・2話を見た時点で思ったのは「これ、子供が見られる時間に放送すればいいのになあ。小さい子供にうける作品だと思うんだけど。深夜枠ってのは場所を間違えてる気がする」というのがこの時点での僕の感想だった。僕だけではなく、多くの人が似たような印象だったのではないかと思う。

パッと見はケモノ耳美少女アニメに思える一方、全般的にかわいらしい作りにしてたり、モデルになっている動物の解説も入っている。とにかく話も会話もおおざっぱでわかりやすい…というより難しい要素がまるで無い。何かが起きてもフレンズたちの反応は「わーい!」「すごーい!」「たのしー!」といったものばかりで、難しいことは考えない。

Eテレや土日の朝の子供(それも未就学児童向けの)アニメ的なわかりやすさだ。 さらに書けば、キャラクターは3DCGで描かれており、映像的にも格別に目を見張るようなものがあるわけではない。全体的に大人が注目するような要素は感じられないのだ。