Feb 28, 2017 column

今話題のアニメ『けものフレンズ』のライブ感は「たーのしー!」のだ

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正直なところ、視聴するのをやめようかなとも思ったのだが、2話のエンディングで「…ん?」となった。廃墟となった数々のアミューズメントパークの写真が用いられている。しかもモノクロームで。 なんでこんな暗い印象の映像を使うんだろう?本編の脳天気さやユルユルさとのギャップがあまりにも大きい。この瞬間、「向かってる先に妙な口がポッカリと開いてるような気配が…?」という感じがし始めた。このあたりから、それまでの流し見から姿勢を正すことになる。 結局そのまま次週も見てしまい、そして4話あたりから本格的に気になってきた。「あ、これ、視聴中断しないでおいてヨカッタ!」。ちょうどネットでの反応が爆発したのもそのあたりからなので、これは僕だけでなく、多くの何となく見続けていた人らも同様だったのだろう。

ナゼに多くの人が突然、まるで熱病が発症したかのようなことになってしまったのだろう? 反応の大きさからさぞや深かったり、知的満足度の高いストーリーが展開されている作品なのか?と思われる人もいるかもしれない。 しかし実際の本編はその真逆だ。児童向けかのようなストーリーややりとりは、見ていると「深夜にこれを見ていて大丈夫だろうか?」という不安がよぎるに十分だ。が、その中でたま~に「ん?今なんつった?」と思わせるセリフや描写が出てくる。これがクセモノだ。

舞台になっているジャパリパークは稼働を終えてからかなりの年月が経っている。なぜ廃墟となったのか?フレンズたちはヒトという動物を知らない。なら人間はどこに行ってしまったのか?いや、そもそもなぜ動物だった彼女らは人間のような姿へとフレンズ化したのか?たまに現れては襲ってくるセルリアンというモンスターは何なのか? さらに4話の時点で、もしかしてカバン以外の人間はもう絶滅しているのでは?と思わせる。 そういうことが小出しにちょこちょこと大した情報ではないような顔で語られる。…と書いてしまうとやはり「けっこうなドラマ性はありそうだな」と思われるかもしれないが、それはない。無いのだ。 むしろその大きなギャップに多くの人が惹かれてしまった…のだと思う。小出しにされるこれらのセリフや描写から、作品世界の設定を深読みし検証する人も多数出てきた。この現象が4話あたりで突如爆発したのだ。

ナゼこんな反応になったのか?おそらくこれを説明できる人はいないだろう。それは視聴者だけではなく、リリースサイドにも、アニメ業界の人にもだ。 ここまで放送前には誰にもマークされていなかった作品であるにもかかわらず、似たような爆発を起こした作品は他にあったろうか?と考えたが、ちょっと思いつかない。それくらい特殊な事例であると思う。 例えるなら『アンパンマン』や『しまじろうのわお!』がナゼか突如、大人の間で大ブームになった…というのを想像していただきたい。そんな感じだ。