不祥事を隠蔽した伝記映画になるのか
マイケルの死から10年後、2019年3月に米HBOで放映されたドキュメンタリー『リービング・ネバーランド』はさまざまな波紋を広げた。当時、児童だった男性ウェイド・ロブソンとジェームズ・セーフチャックがどのような経緯で性的虐待を受けたかを大人になった観点からつづったドキュメンタリーで、それを見たマイケルの親族は激怒。最初の訴訟相手は1993年のジョーダン・チャンドラー・ケース。マイケル側は、その訴訟で当時2300万ドル (日本円で約36億円) を支払って和解したため、火の無い所に煙は立たぬと、それ以降マイケルは訴訟のプライム・ターゲットとなっていく。

その後マイケル側は、2003年にネバーランドの家宅捜索を受け、同年12月、児童虐待などの容疑で起訴された。しかし、2005年2月から始まった裁判では、6月の時点で検察側の主張は十分に立証されず、全ての罪状で無罪評決を受けた。マイケルは無罪判決となったが、その後も疑惑が晴れなかったことは確かだった。
そして抗戦するかのように別のドキュメンタリー『ネバーランド・ファーストハンド』も放映。マイケルを訴えたウェイド・ロブソンと付き合ったマイケルの姪のインタビューをもとに、当時マイケルを崇拝した少年ロブソンの姿が映し出される。ショービズに憧れた少年とその家族が、どこかでマイケルと縁が切れ、夢を絶たれたあとの経済的な理由で、マイケルを訴えたようにも見えるドキュメンタリーである。真相はどこにあるのかは両方のドキュメンタリーを観ても、判断しづらい。しかし、マイケルを訴えた当時の少年たちを取材した『リービング・ネバーランド』の監督ダン・リードは、信念を貫いて、映画『マイケル』を非難。米Hollywood Reporterのインタビューで、彼の監督したドキュメンタリー映画は、現在、ジャクソン・エステイトと1億ドル (日本円で約156億円) の訴訟中のためHBOのストリーミングから外されているが、契約が終わる2029年に他の放送局などに打診して、再放送に持ち込む予定だと語っている。あらゆる意味で物議を醸しているこの映画、うなぎ上りで注目が集まっていることは確かである。
文 / 宮国訪香子

圧倒的な歌唱力と革新的なダンスパフォーマンスで、アーティストの枠を超え、全世界的なアイコンとなった“キング・オブ・ポップ”=マイケル・ジャクソン。野心家の父のもと厳しいレッスンを経て、兄弟グループ、ジャクソン5で幼少の頃から大成功を収めた彼は、やがて青年となり、ソロアーティストとして歴史的名曲の数々を生み出し、全世界の寵児となっていく。しかし、その栄光の裏には、早熟の天才ゆえの孤独感、強権的な父親の呪縛、家族への愛と自分の中に溢れるビジョンとの間で葛藤する一人の人間の姿があった。
監督:アントワーン・フークア
出演:ジャファー・ジャクソン、ジュリアーノ・ヴァルディ、コールマン・ドミンゴ、ニア・ロング、ケンドリック・サンプソン、マイルズ・テラー、ローラ・ハリアー、ケイリン・ダレル・ジョーンズ他
配給:キノフィルムズ
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2026年6月12日(金) 全国公開
公式サイト michael-movie.jp