人気シリーズの続編、リブート、スピンオフを制作する際に、リスペクトの表現の仕方っていろいろあるけれど、個人的に本作のオリジナル愛が大好きだ。懐古主義も革新的技術もやりすぎない。問題を抱えた家族が都会から田舎へ。ボーイ・ミーツ・ガールがあって、軽いノリとユーモアを。ロマンスもあり、ヒーローへ成長。そして、ちょっぴりとした感動がある。難しいことは考えなくていい王道のストーリーだ。そうして昔の香りを匂わせながらも、現在にフィットさせているので、いやらしくない。ローラースケートガールのいるダイナー、VHSのビデオ、すーっと80年代っぽさを物語にブレンドしていく。
その一方で、おじいちゃんの偉業はYouTubeで知るという現代との対比。手腕が素晴らしい。なんでも新しい様式に変えればいいってもんじゃない。でも、変わらないことを否定しているわけじゃない。これくらいがちょうどいい。リスペクトのあまり、焼き直し感が出てしまうものがあるが、それに陥っていない。フィービーのセリフに、「おじいちゃんの人生のかけらを集めてる」っていうのがあるんだけど、いい言葉選びだなと思った。本作に溢れているのはそういうオリジナルに対する心遣いだな、と。
セリフ回しでいうと、大人になったいま、『ゴーストバスターズ』を吹替版ではなく字幕版で、ウィットに飛んだジョーク、いわゆる下品なスラングを含めて、予習しておくといい。”nuts”って頭おかしい奴って意味と睾丸って意味があるとか、”お前は神か?って聞かれたら、イエスって言えよ”とか、分かってると楽しい。控えめに言って、マジで観ておいた方がいい。本作の内容が分からないとかではなく、そのほうが絶対に面白いから。1時間45分と短いのが、昔の映画のいいところだし。