Jan 16, 2026 column

映画『ダウントン・アビー/グランドフィナーレ』を観る前に押さえるべき人物・相続・時代背景|6シーズン全52話を総復習

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シーズン4は8話。時代設定は1922〜1923年。大きな歴史的事件はナチスドイツの出現。主軸はメアリーをはじめとする人々の隠れた才能発揮と、女性貴族のコルセットからの解放。

マシューが亡くなって半年、失意のメアリーは彼の遺言状の発見によって思わぬ才能を発揮。遺言には息子が成人するまでの間、マシューが所有した領地の管理をメアリーに任せる、というもの。そこで、メアリーはすでに一家の経営部長的立場となったトムとともに領地運営で手腕を発揮し始める。一方、メアリーと犬猿の仲の妹イーディスは新聞社で編集と文筆の手腕を発揮しており、編集者で既婚のグレッグソンとの間に子を身ごもってしまう。しかも、グレッグソンは離婚するためにドイツの市民権を求めに行くものの、国民社会主義ドイツ労働者党 (後のナチス) によって消されてしまい、残されたイーディスは海外で極秘出産。その子を養子に出す。またこのシーズンでは初めて、使用人の解雇も (トムに言い寄ったコーラの侍女)。

シーズン5は8話。時代設定は1924年。大きな歴史的事件はミュンヘン一揆。主軸は悩み多きイーディスと使用人の面々が次々に問題を解消&使用人たちも相続問題でドタバタ。

イーディスは、ドイツで起きたミュンヘン一揆でグレッグソンの死を知り、彼の出版社を相続して社長に。里子にしていた娘マリゴールドを養女として迎え入れ、ロンドンに移住する (が、じきにマリゴールドが実子ということが一家にバレる)。料理長のパットモアが引退後に宿屋の経営を考え始めたことや、彼女の助手デイジーが亡き夫の父からの不動産相続を持ちかけられたことなど、使用人たちも相続・財産問題で揺れ動く。その一方で、不遇な事件に巻き込まれて逮捕されたメアリーの侍女アンナのために、メアリーをはじめ使用人たちも総力を上げて無実の証明にかかる。この騒動によって執事のカーソンと家政婦長ヒューズの恋が実り婚約。一家の経営部長となっていたトムは娘とともにいとこのいるアメリカ・ボストンに移住して、事業を始めることを決意する。

シーズン6は8話。時代設定は1925年。大きな歴史的事件は制度改革と中産階級の台頭。主軸はクローリー家の存続と、ダウントン・アビーの「家」としての再認識。

制度改革と社会情勢の変化によって、数々の地方貴族が破産。ダウントンも経費削減に待ったなしで、使用人の削減を決定。副執事のトーマス、下僕のモールズリーがダウントンを去ろうとする。トムがボストンに越してしまったことでメアリーがダウントンの不動産運営筆頭になり、レーシングドライバーのヘンリーと恋をする。一方のイーディスはロンドンで編集者・社長としての手腕を発揮して、女性の編集者を育成する一方で、ブランカスター城を相続したバーティとの恋に悩み始める。そんななか、トムが戻りメアリーとともにダウントンの運営を二人三脚で再開したときに、ロバートが病気で倒れる。庶民で交通事故の危険があるヘンリーとの結婚に悩んでいたメアリーは、ストレスもあって成功しているイーディスの秘密 (マリゴールドが不倫の末の実子であること) を暴露し姉妹仲は作中最悪に。バラバラになりかけたクローリー家と使用人たちは、それぞれに起きた幸不幸の出来事をきっかけにダウントン・アビーが「帰るべき家」という再認識をする。

駆け足で紹介したTVシリーズ全6シーズン。歴史的事象を盛り込んだマクロ的な舞台設定がありつつも、描かれるのは非常にミクロな当時の人々の生活の営みというのが、共感を高める。しかも、価値観の変容描写は見事だ。さすがに当時の人々がこれほど進歩したとは考えにくいが、この描写によって21世紀にこの作品が作られた意味が生まれるし、この変容があったからこそ今がある、と思わせるだけの脚本の力がある。もちろんここに記したことだけではない事件や人物がてんこ盛りだが、とりあえずこれを頭に入れておけば、劇場版を楽しめるはず。映画版の1作目には、冒頭でダウントン・アビーで暮らす人々のキャラクター解説がそれとなく入っているので、個人的にはこれで興味を持っていただき、映画3作を楽しんだ後でドラマに戻ってコンプリートするのが一番手っ取り早いのではないか、と思っているが、どこから手を出しても大丈夫。ダウントン・アビーは視聴者にとっても「帰る家」のようにいつでも門戸を開いているから。

文 / よしひろまさみち

作品情報
映画『ダウントン・アビー/グランドフィナーレ』

1930年。クローリー家とダウントン・アビーの使用人たちは、きらびやかな夏の社交シーズンをロンドンで迎えていた。しかし、長女メアリー離婚のニュースが社交界を揺るがし、一家の名声を脅かす。社交界から締め出されたメアリーの前に現れたのは、ニューヨーク出身の財務アドバイザー:サムブルック。母コーラの弟ハロルドに連れられてダウントンを訪れ、離婚直後のメアリーに甘い言葉を囁く。そして、彼はハロルドがコーラの遺産を投資につぎ込み大失敗したことを告げ、財政難に苦しむダウントンを救うために、ロンドンにある社交用の別荘を売却することを提案する。

監督:サイモン・カーティス

出演:ヒュー・ボネヴィル、ローラ・カーマイケル、ジム・カーター、ラケル・キャシディ、ポール・コプリー、ブレンダン・コイル、ミシェル・ドッカリー、ケヴィン・ドイル、マイケル・フォックス、ジョアンヌ・フロガット、ポール・ジアマッティ、ハリー・ハッデン=パトン、ロブ・ジェームズ=コリアー、アレン・リーチ、フィリス・ローガン、エリザベス・マクガヴァン、ソフィー・マクシェラ、レスリー・ニコル、ダグラス・リース、ペネロープ・ウィルトン

配給:ギャガ

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公式サイト downton_abbey_the_grand_finale