Apr 30, 2018 column

『半分、青い。』制作統括・勝田夏子ロングインタビュー(前編) 脚本家・北川悦吏子と作る家族の物語

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──現場に、大河ドラマ『真田丸』のジャケットを着た人がいて、『真田丸』に参加されていた方もいるのだなあと想像する楽しみもありましたが、スタッフ構成も勝田さんが決めるのですか?

スタッフは、各部署に、今回の題材がこうだから、こういう資質の人を探していますと希望を述べて、提案してもらいます。

──今回はどういう資質の人を集められましたか? 例えば、演出や美術スタッフの方など。

美術に関して言うと、すごく美意識の高い北川さんが描く美しい世界をちゃんと形にできること。あと、時代が何十年にも渡るので、時代感をしっかり表現できる人ということで相談しました。

──チーフディレクターの田中健二さんはどういう特性をお持ちですか?

田中は、朝ドラでは『カーネーション』(11年)でチーフ演出をやっていました。私は『軍師官兵衛』(14年)を一緒にやっていて、シリーズを任せられる監督としてとても信頼しています。長いシリーズではとりわけ、腕が良いのみならず、クルーを盛り上げ、この人にならついていきたいと思わせる人間力みたいなものも求められます。その点、田中は、誰よりもタフで柔軟、そして台本の最も深い部分をくみとって表現してくれます。そう思って、田中に頼んだところ、北川さんの朝ドラだったらぜひやりたい、と引き受けてくれました。

──『カーネーション』はプログレッシブカメラを使った風合いのある映像になっていましたが、今回のルックにはどういう狙いがありますか。

朝のドラマなので、基本は明るく、でも、時代物の場合は、明るくして何もかもがはっきり映ると古く作り込んでいる部分がわかってしまうので、背景のフォーカスをぼかしてちょうどいい感じの質感に見せる工夫をすることもあります。今回は、時代物ではないですが、やや昔の80年代を描くので、はっきりし過ぎず、淡くし過ぎず、中間くらいを狙っています。

 

 

──とくに新しい技術を使っているわけではないですか。

田中はもともと、お芝居を大事にして俳優の芝居以外に画面を作り込み過ぎることはあまり好まない演出家ですし、今回は、作品の性質を鑑みて、視聴者の方が観ていて安心できる“テレビらしさ”みたいなものを大事にしてくれています。映画のような色調だと視聴者の方が遠く感じることもあるんです。

──『半分、青い。』なので、ブルーをテーマカラーにしているようなことはありますか?

青をどこで使うかは、各部署みんなものすごく考えていると思います。ルックそのものが青みをかけるようなことはないですが、青はすごく大事な色としてそこここで使っているはずです。

──ドラマの最後に映る視聴者参加の「写真の上に絵を描く」アイデア写真、ああいう企画も勝田さんが考えられるのですか?

あれにしようと言ったのは私ですが、参考にしたのは、くろやなぎてっぺいさんが作ってくださったタイトルバックです。窓に何か描くと……外の景色が別のものに見えるアイデアがすごくおもしろいと思って、〈エンド5秒〉はこれだ!と考えました。