Apr 30, 2018 column

『半分、青い。』制作統括・勝田夏子ロングインタビュー(前編) 脚本家・北川悦吏子と作る家族の物語

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──フィルターをかけると違う世界ができあがる発想はすごくステキですし、「レイヤー社会」みたいなことが言われて久しい、その現代性も感じました。それは、勝田さんが作品に関して感じている何かにつながりますか?

くろやなぎてっぺいさん始め、何社かに参加してもらって、タイトルバックのコンペをやったとき、『何かを半分失っても、人は発想の転換で前向きに生きていける、ということがこの番組のテーマです。ヒロインの鈴愛は、半分しか雨音が聞こえないことを悲しむのではなく、半分だけ雨音が聞こえたり、それがあがって青空になることを楽しんだりしながら、前に進んでいく女の子。彼女の精神がこのドラマの軸になっていきます』というようなことを説明したら、意図を汲んで、ああいうアイデアを提案してくださいました。

 

『半分、青い。』制作統括・勝田夏子ロングインタビュー(前編) 脚本家・北川悦吏子と作る家族の物語

 

【取材を終えて】
「何かを失っても前向きに」というテーマに沿って、ヒロイン鈴愛はまず漫画家を目指すも挫折、故郷に戻って、物作りの道へ進むことになる。続く99作めの朝ドラ『まんぷく』も、主人公(安藤サクラ)の夫(長谷川博己)はいろんな職業を転々とした結果、インスタントラーメンにたどりつく。朝ドラは半年間という長いスパンなので、主人公は何回か失敗も経験しないことには話の盛り上がりに欠けるであろう。そういう意味でも、「失敗して前向きに」というテーマは、朝ドラに不可欠なのだろうと感じた。
『半分、青い。』制作統括・勝田夏子さんインタビュー後編では、漫画を描く場面の面白さや難しさや、キャスト、主題歌、ドラマの時代の流行アイテムなどについて伺います。

 

 

取材・文 木俣冬
撮影 江藤海彦

 

プロフィール

 

勝田夏子(Natsuko Katsuta)

1969年生まれ。1992年、NHK入局。演出作に『抱きしめたい』、『浪花の華〜緒方洪庵事件帳〜』、『下流の宴』など、プロデュース作品に『破裂』『コントレール〜罪と恋〜』、大河ドラマ『軍師官兵衛』などがある。連続テレビ小説は、『風のハルカ』、『ちりとてちん』、『ゲゲゲの女房』、『梅ちゃん先生』などを演出している。

 

作品情報

 

連続テレビ小説『半分、青い。』

NHK 総合 月〜土 朝8時〜、BSプレミアム 月〜土 あさ7時30分〜
作:北川悦吏子
演出:田中健二ほか
出演:永野芽郁、松雪泰子、滝藤賢一/佐藤 健、原田知世、谷原章介/矢本悠馬、奈緒、井川遥、余貴美子、豊川悦司、中村雅俊 ほか

岐阜県東美濃市梟町に生まれた鈴愛(永野芽郁)は幼いころに、左の耳を失聴してしまいながらも、同じ日に生まれた律(佐藤健)や家族に支えられながら、前向きに生きていく。高校卒業後、漫画家を目指すことにした鈴愛は、東京に出て、人気漫画家・秋風羽織(豊川悦司)のアシスタントになる。

 

木俣冬

文筆家。著書『みんなの朝ドラ』(講談社新書)、『ケイゾク、SPEC、カイドク』(ヴィレッジブックス)、『挑戦者たち トップアクターズ・ルポルタージュ』(キネマ旬報社)、ノベライズ「連続テレビ小説 なつぞら」(脚本:大森寿美男 NHK出版)、「小説嵐電」(脚本:鈴木卓爾、浅利宏 宮帯出版社)、「コンフィデンスマンJP」(脚本:古沢良太 扶桑社文庫)など。 エキレビ!で「連続朝ドラレビュー」、ヤフーニュース個人連載など掲載。 otocotoでの執筆記事の一覧はこちら:[ https://otocoto.jp/ichiran/fuyu-kimata/ ]