Apr 30, 2018 column

『半分、青い。』制作統括・勝田夏子ロングインタビュー(前編) 脚本家・北川悦吏子と作る家族の物語

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4月からはじまった連続テレビ小説第98作『半分、青い。』は、片耳を失聴しながらも明るく前向きに生きていく主人公・楡野鈴(すず)愛(め)(永野芽郁)の物語。お母さん・晴(はる)(松雪泰子)の体内に宿った胎児からドラマがはじまり、岐阜の自然のなかで、すくすくと育ったこども時代は涙腺を刺激し、甘酸っぱい高校時代を経て、舞台はいよいよ東京へ……、鈴愛が漫画家になるべく奮闘するターンとなる。
月9『ロングバケーション』(96年)、日曜劇場『Beautiful Life〜ふたりでいた日々〜』(00年)など、神話のようなラブストーリーを何作も生み出してきた北川悦吏子が、恋愛だけでなく、家族愛に挑んで、多くの視聴者の心を鷲掴んでいる。
北川悦吏子ドラマで朝ドラに革命を挑む『半分、青い。』の制作統括・勝田夏子さんに前、後編の二編に分けて話を聞いた。

 

──勝田さんが初めて関わった朝ドラ(連続テレビ小説)はなんでしたか?

『すずらん』(99年)です。そのときは、ほんとに下っ端でした。

──『すずらん』からやっている朝ドラのベテラン勝田さんですから、朝ドラのノウハウも相当もっていらっしゃるのでしょうね。

いえ……ノウハウって、あるようでないものなんですよ。というか、時代と共に見直されていくものなのです。例えば、話の構成でいうと、台本が1週間(月〜土の6回)で1冊なので、基本は1週間単位で話のうねりを考え、そのピークを最初のうちは土曜日にしていたところ、ある時期から、土曜ではなく木曜ぐらいじゃないか? と考えるようになったなんてことがあります。たいていの脚本家さんは、1週間分をまとめて書いてくださいますが、『半分、青い。』は、北川悦吏子さんが『1日1本ずつ見るドラマだから、1本ずつ短距離走で書く』とおっしゃって、1日1話分を書いて送ってくださることがすごく新鮮です。もっと言えば、『週ごとにきっちり話に収まりをつけると予定調和になるから、それはむしろ外していきたい』とおっしゃったことが目からうろこの思いでした。確かに毎日1話ずつ見ている側からしたらそれもそうかもしれないですよね。

──15分の間に起承転結のものすごいうねりがあったりするときもあるわけですね。

ありますね。北川さんは『15分のドラマではいろいろな手数が出せる』とおっしゃって、普通のドラマではやれないようなイレギュラーな展開を効果的に使っていらっしゃいます。

──今は何話ぐらいまでできあがっていますか?(取材は、初回放送直前くらいに行いました)

大体半ばぐらいを撮っています。進行は早いほうだと思います。

 

 

──物語全体の構想は、最初に北川さんが決めるのですか? それとも話し合いですか?

かなり長い時間かけて話し合っています。企画自体は一昨年の夏から取り掛かっていました。

──朝ドラの企画は大体2年ぐらい前から動き出すものなのでしょうか。

そうですね。

──北川さんとやろうと思われたのは、勝田さんですか?

まず、北川さんがドラマ番組部に何年も前から企画を売り込まれていて。その企画が採択されたときに、私にやらないかと話が下りてきました。私は、『ロングバケーション』などリアルタイムでハマッていましたが、『運命に、似た恋』(16年)の台本を読んで、これはとてつもない作家さんだなと改めて思ったので、心してお引き受けしました。