Feb 10, 2023 interview

黒羽麻璃央インタビュー 真っ白な状態で演じ、監督・共演者に上手く料理してもらった『生きててごめんなさい』

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『新聞記者』の藤井道人監督が企画、プロデュースを務め、自身の作品「アバランチ」でも演出のひとりとして関わった山口健人氏を監督に迎えた『生きててごめんなさい』が公開中。

主演作のミュージカル「刀剣乱舞」「ロミオ&ジュリエット」「エリザベート」でも人気を博す黒羽麻璃央と『街の上で』の穂志もえか。本作は、生きづらさを抱える女性【清川莉奈】と出会った小説家志望の編集者【園田修一】の葛藤と才能について綴るラブストーリーです。今回は、主演を務める黒羽麻璃央さんにお話を伺います。

―― 本作へのご出演の経緯を教えて下さい。

今作のプロデューサーでもある藤井道人監督とも以前、ドラマ「向かいのバズる家族」(2019)でご一緒していて「また、一緒にやろう」と言われていたんです。それに山口健人監督とも、前に約束もしていたんです。それもあってお声がけして頂いて「こちらこそ、是非是非、ご一緒したいです」と二つ返事でした。 

―― 冒頭の飲み屋さんで喧嘩をして、恋に落ちる瞬間のシーンも好きでした。絵面など凄く意識して撮られていると思いました。

今回の作品は、結構、順撮りだったのですが、撮影場所である居酒屋を使用できるタイミングの関係もあって、居酒屋のシーンは最終日だったんです。あのシーンは撮影最終日の一番最後の撮影で、あのシーンを撮影してクランクアップとなりました。

―― 【莉奈】役の穂志もえかさんとの共演はいかがでしたか。

ひと言で“化け物!” まぁ化け物というと語弊がありますが、お芝居が凄かったんです。お芝居をしている感がないんですよね。お芝居の究極を突き詰めれば、そうあるべきだとは思いますが・・・・。

彼女の演技はリアル過ぎて、莉奈なのか穂志さんなのかわからなくなってくるんです。その演技を信じて、上手く乗っからせてもらって、引っぱってもらっていました。だから穂志さんと山口監督にはとても感謝しています。お二人が自分を上手く料理してくれたと思っています。

―― 今回の役柄は、受けのお芝居だったと思います。感情を出すわけでもないので難しいと思いますし、細かな演技が必要だったのではないですか。

あまり何も考えずに演じさせてもらっていました。緻密に考えて、計算しながら演技をするのではなく、ただ純粋に自分が置かれている状況と相手から投げられたものをちゃんと受け取った時の気持ち(感情)のまま演じることを大事にしました。共演した皆さんがいい球を投げて下さるので、その球をひたすら、真っ白な状態で受け取り、白だったものがどんどんと黒くなっていくみたいに色が塗られていくような感じでした。

―― 【修一】は自分に持っていない魅力を持っていて、かつ生きづらそうな【莉奈】に恋をしたのではないか、と私は思っていました。黒羽さんはどう思われましたか。

恋もそうですが、【莉奈】に惹かれる部分が他にもあったと思います。【修一】には大きな夢があるんだけど、結果が付いてこない部分がある中で、自分よりもダメな存在、“自分が居ないとこの子はダメなんだ”という自分が少し優位に立てる存在を見つけてしまったからこその安心感もあると思います。もちろん、映画を撮影している時もそうでしたが、どんどん愛おしさが芽生えてくるんです。