誰もが羨むハイスペックサラリーマン、川村俊介。社長令嬢との結婚式前夜、渋谷で開かれたサプライズパーティで酔った帰り道、マンホールの穴に落ちてしまう。深夜、穴の底で目覚めた川村は足に深傷を負い、梯子も壊れて身動きが取れない。GPSも警察も役に立たず、唯一繋がった元カノの助けを得ながら、SNSを駆使して脱出の道を探る。結婚式までのわずかな時間で、このどん底から這い上がれるのかーー。
主人公 川村俊介役に中島裕翔を迎え、『ライアーゲーム』シリーズ、『マスカレード・ホテル』シリーズの岡田道尚による完全オリジナルストーリー。国内外で高い評価を受ける熊切和嘉監督が、自身のキャリアでも初となるシチュエーションスリラーに挑む。
予告編制作会社バカ・ザ・バッカ代表の池ノ辺直子が映画大好きな業界の人たちと語り合う『映画は愛よ!』、今回は、『#マンホール』の熊切和嘉監督に、撮影時のエピソード、映画への思いなどを伺いました。
マンホールの中の深くて広い世界
池ノ辺 映画すごく面白かったです。詳細はここでは言えませんが(笑)、最後までドキドキしました。
熊切 よかった。うれしいです。
池ノ辺 この映画は、最近では珍しいオリジナル作品ですね。脚本の岡田道尚さん、企画の松下剛さんからお話があったんですか?
熊切 最初はプロットの段階で読ませてもらったんです。今まで撮ってきたタイプのものと全然違ったので、とまどいもあったんです。マンホールの中という本当に狭い、ワンシチュエーションの中でのすごく広がりのある話で、何度か読み返すうちに、話の転がし方も面白くて、例えばSNSの使い方などで社会風刺にもなっている。これは面白い映画になるんじゃないかと思ってオファーを受けさせてもらいました。
池ノ辺 撮影は大変だったでしょう。
熊切 この話は、今までと同じような感じで芝居を撮るだけでは、全く画変わりがしないですから間が持たないので、かなり見せ方のバリエーションを考えました。事前にかなり準備もしたし、仕掛けが多いので結構絵コンテも描いています。できる限り同じアングルにならないようにしたかったので、そこは毎日悩みましたね。
池ノ辺 マンホールの中は、実際にはどうやって撮ったんですか。
熊切 マンホールは上部と下部に分けてセットを作っています。壁が取り外せるようになっていて、全部はめ込むと1つのホールになる。撮るときにそこの壁だけ抜いて、さらに移動するときには外したところが映らないように、カット内でスタッフに壁を入れてもらいながらの撮影でした。
池ノ辺 都心からちょっと離れたところで撮影していましたよね。
熊切 狭山です。とある制作会社が持っている、でかい倉庫にセットを組んで、そこで撮影しました。